日本語感覚と異なる this の使い方・使い分け考察

洋画や海外ドラマのセリフには、日本語の感覚や発想で「あれ・あの」と言う場面で this が使われていることがあります。

この記事では、実際のセリフや辞書・参考書を例にどうして this がこのような使われ方をするのかを考察して、使いこなせるまでを目指しています。

また、同じ場面で that を使うとどういったニュアンスになるのかを考えました。

 

なお、日本語の感覚と同じ使い方は割愛します。
例:物理的距離、時間的距離(記憶、予定)
  「この仕事・事件」など具体的な状況を指す
  特定の表現( this week =今週)

 

お約束
素人英語学習者の考察ですので正しい内容ではないかもしれません。また記事を書いている時点でネイティブの友達に確認したわけでもありません(彼ら、考えたこともなさそうですが)。間違いなどがありましたらコメントなどでご教授くださいますと幸いです。

 

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1.  日本語では「あれ・あの」なのに this が使われる場面  

 

私が洋画や海外ドラマのセリフで this が使われていて不思議に思った場面は以下の2つ。

  • その場にいない人を this で指す(手元に写真や資料なし)
  • その場にない物を this で指す(手元に写真や資料なし)

これらの場面では日本語では「あれ・あの・それ・その」を使うのが自然なので、this を使うと不自然な感じがします。

この記事ではこの疑問に対する答え(あくまで素人考察)を探っています。

次に、具体的な例(セリフの引用)に入る前に、理解しやすくするためにその答え(あくまで素人考察)を紹介します。

 

2.  日本語の感覚と異なる this り方

 

心の距離が近い人、事、物を this で指す

まず、この項目の見出しの日本語おかしいですが、言いたくなったのと、言葉を縮めた結果です。「 this の使い方」を圧縮しました。念のため説明。

先ほど挙げた2つの場面は「心の距離が近いから this っている」と解釈すれば解決します。

物理的な距離で使い分ける this と that は日本語の感覚と同じなので、その拡大解釈で英語では「心の距離が近いものにも this を使う」と覚えておくとよろしいかと思います。

以降、誠に勝手ながら言葉の効率化のために「心理的距離が近いものに使う this 」の用法を「 this る」と圧縮、表現させていただきます。よろしくお願いいたします。

 

感情面から考える this,  that

基本的にはこれまでの説明で解決なのですが、感情面から考えると this り方だけでなく that との使い分けも分かりやすいかと思いますので、その辺りを。

人は心の距離が近いものには感情的になりがちです。そんなときには、this に感情や思いを乗せることができます。

日本語でも昔行きつけだった店の料理を久しぶりに食べて「これだよ、このすき焼きが食べたかったんだ!」と言ったりしますが、思い出しているだけで食べていないときに言うことはありません(思い出しているときは「あのすき焼き」ですね)。

英語では実際に食べていなくても、思い出しているだけでも「このすき焼き」と言えるわけですね( I love this sukiyaki. などと)。

ネイティブは this ることで相手に「あの味」が舌の上に思い出せるくらいおいしくて感じて懐かしいという気持ちまで伝えているのかもしれません。もしくは、妄想で今まさに食べちゃってて今まさに味を感じて「この味」と this れるのかもしれませんね。

※すき焼きが途中から味になってますが、すき焼きと書くのに疲れました。

この場面で that を使うと「あれおいしかったけど味忘れちゃった」というニュアンスになってしまうかもしれません。

とはいえ、もちろん that にも感情は乗ります。「あの野郎」などと怒りを乗せて相手を罵ることがあります。

「あの野郎」は嫌なやつなので、心の近くに置きたくないというニュアンスが含まれているのでしょうか(もちろんその場にいないからでもありますね)。

ちなみに、ドラマなどでは相手がその場にいなければ「 That bastard. 」、面と向かっては「 You bastard. 」などと言いますね(3人以上で第三者に「 This bastard, he is 〜 」と紹介・説明するような感じで使われることもあります)。

もしかしたら、この流れで「 this はポジティブな気持ちのときに使う」「 that はネガティブな感情に使う」と解釈される方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく(もしかしたらそういう傾向はあるのかもしれませんが)、あくまで「心の距離」でネイティブは使い分けているようです。

英語は何かとはっきりとさせたがるので、this と that で心の距離を表したり区別するのかもしれません。

日本語のこの・あので心の距離を表さないのは、空気を読む・察する文化のため、心の中はお互いそっとしておこうということなのかもしれないですね。

 

this ってるねー

洋画や海外ドラマを見ているときや、ネイティブと英語で会話をしているときに心の距離が近い this を相手が使っていたら「 this ってるねー」とこの記事を思い出して納得していただけたら嬉しいです。

納得していただけましたらネイティブ相手に思いっきり this ってみるのも会話が生き生きすると思うのでおすすめですよ。

逆に、this る場面で that を使うと「あまり大事に思っていない」とネイティブに思われてしまうかもしれません。もしかしたら。可能性として。話し方もありますのでね。

ここまでで日本語感覚と異なる this の使い方の解説は終了です。

ここからは長々と実例を証拠のように紹介していくだけなので、具体的な this り方がお分かりいただけるかと思います。

 

 

3.  this の意味を確認(辞書・参考書)

 

ここでは this の意味やイメージを確認するために辞書と参考書で調べた内容をまとめました。まとめた内容はこの記事のテーマである「日本語感覚と違う this の使い方」に限定しています。

やや込み入った内容になりますので、先に次の項目から読んでいただいた方が分かりやすいかもしれません。そもそも英語学習は意味からではなく実例から入った方が分かりやすいですし。読み飛ばしても大丈夫です。

 

辞書の this

まず、辞書で this を引いてみます。

辞書はしばしば間違っていると批判されますが、正しい情報の方が圧倒的に多いはずです。

thatと比べて話し手の意識の中心にあると感じられるものに用いる. 話し手が心理的に自分に属すると考える領域にあるもの, その時念頭にある考えをさすのにも用いる

上記は Mac に入っている辞書「プログレッシブ英和・和英中辞典」の最初に書いてある内容そのままです。

※ちなみに Mac は単語を右クリックで調べることができるので便利です。私は古い OS 10.7.5 を使っていますが、これ以降の OS では辞書は別のものになっています。

 

最初に書いてあることなので this 全般の概念ですが、this り方の説明にもなっています。

辞書らしくちょっと分かりづらいかもしれませんが、それぞれ this は「話し手の心の距離が近いものを指す」と解釈できますね(物理的・時間的距離に関しても、身近に感じるものには this ですね)。

この3つの説明では、1つ目が一番イメージしやすいかと思います。絵に書くと(書きませんが)頭がダンボールでできた人(ダンボー?)が頭の中心にあるものを this で指している感じですね。

 

日本語感覚と異なる例文としては、以下のものがありました。

4⦅話し言葉⦆ある. 話し手の記憶の中だけにある人事物をさしていう
Yesterday I was arguing with this waiter, …|きのうあるウエーターとやりあってたんだ, そしたら….

もしこの会話(英文)を家や職場で言われたら、「えっ、どこにウエーターが???」ってならないでしょうか。

日本語の感覚だと、レストランにいて、近くにいるウエーターを指差している場面なら自然ではないでしょうか(英語でも自然ですね)。

話し手は「心の写真を指しながら this と言っている」と捉えるとイメージしやすいかと思います。

 

参考書の this

参考書は大西 泰斗/ポール・マクベイ著「一億人の英文法」を見てみました。英語をネイティブの思考やイメージ、気持ちから解説してくれる著者なので、this るときの感覚の説明もあるかなと。

すると、少しですが、ありました。少しなので、書籍なので、盗作になりそうなので、一部をまとめると以下のようになります。

  • this には臨場感が乗っている
  • (心理的に)話し手の近くにある感じがする

まとめすぎて分かりづらいかもしれないので、気になった方は書籍を手に取ってみてください。

臨場感は前項に書いたすき焼きの例がぴったりかと思いますし、辞書のウエーターの例でも頭の中でウエーターが生き生きしている感じがぴったりですね。

「感情・思いが乗っている」と言い換えても良さそうです。

<紹介書籍>

 

辞書、参考書の this り方まとめ

  • 話し手の意識の中心にあると感じられるもの
  • 話し手が心理的に自分に属すると考える領域にあるもの
  • その時念頭にある考えをさす
  • 話し手の記憶の中だけにある人事物をさしていう
  • this には臨場感が乗っている
  • (心理的に)話し手の近くにある感じがする

この記事ではこれらの核として、

「話し手の心の距離が近いものを指す」としています。

 

4.  その場にいない人を this で指すセリフ

 

先ほどの辞書の例は「話し手の記憶の中だけにある人」を this で指していました。

これに対し「相手の記憶の中だけにある人」つまり、その場にいない人を this で指す使い方が2013年の米映画「 Don Jon/ドン・ジョン 」にありました。

息子を子供扱いしている父親が、息子から彼女ができたと報告され「お前に愛が分かるのか?」「本気なのか?」と確認したときのセリフです。

Do you love this girl?

その子を好きなのか?

※訳はあえて「その子」としましたが「彼女」と訳す方が自然です。

 

補足しますと、この場面に彼女が映っている写真やスマホの画像はありません。

その場にいない人を this で指しています。この父親は彼女には会ったこともないし、写真を見たこともないので、辞書の例文のように心の写真はありませんが、息子と話すうちに彼女が意識の中心になったので this を使ったと考えられます。

 

この場面で that を使うと???

これは完全に想像なのですが、この場面でもし that を使うと以下の2つの解釈が成り立つかもしれません。

  • 息子の彼女にあまり興味はないけど、一応聞いておく
  • 「あんな女を好きなのか?」と彼女も息子も非難する感じになる

※文脈や口調からこうはならないと思います。あくまで文面上。

もし、こうした解釈が成り立つとすれば、私のような非ネイティブ日本人は「その子のこと好きなの?」と言おうとして that を使ってしまい、知らないうちにネイティブに嫌われてしまうかもしれません。

とはいえ、this/that を使うのを避けて、your girlfriend と具体的に言えば大丈夫ですし、もっとシンプルに her と言えば付き合っていない状況でも使えます。あっさり解決です。

が、this を使うと「自分も真剣に考えている」という気持ちを伝えることができるかもしれません。

 

 

5.  その場にない物を this で指すセリフ

 

辞書に「話し手の記憶の中だけにある人事 “物” をさしていう」とあるように、「その場にない物を this で指す」こともあります。

先ほどの例で、人が物になっただけなので分かりやすいと思います。

2009年放送の米ドラマ「 White Collar/ホワイトカラー 」のシーズン1第8話のセリフです。

She wants this music box. 

Do you know where it is?

彼女はあのオルゴールを欲しがっている

どこにあるんだ?

 

この時点でこのオルゴールの所在は分かっていないので、当然手元にもありません(写真もありません)。話し手は相手がオルゴールを隠していると思っています。

直訳して「このオルゴール」とすると、オルゴールが画面に映っていないか探しちゃいますよね。

ドラマでは、このオルゴールはとんでもない価値があり、さらに謎が隠されている重要なものなので、入手は困難で危険を伴います。

話し手はオルゴールから事件の真相を探り出そうとしていて、オルゴールが事件解決の鍵になると考えています。

辞書の「話し手の意識の中心にあると感じられるものに用いる」「その時念頭にある考えをさす」にも当てはまりますね。参考書の「 this には臨場感が乗っている」に当てはめると、オルゴールを中心に事件が動いている感じがしますし、「(心理的に)話し手の近くにある感じがする」にもぴったりな場面かと思います。

 

this を使うと必死さが伝わる???

これも完全に想像なのですが、この場面で this を使うことによってオルゴールの必要性や「どうしてもオルゴールを見つけなければならない」という気持ち(意識の中心にあるということ)を伝えているのかもしれません。

話し手は緊迫した状況から必死に相手を説得しているので、その思いを this に乗せているのかもしれません。

ここで that を使うと「どうしてもってほどではないけど、見つかればいいね」くらいになってしまうかもしれません(もちろん口調からそうではありませんが)。

実生活では恋人に指定されたプレゼントを渡す当日に探しまわっていることを友達に伝えるときなんかに this を使えば臨場感や気持ちが乗りそうですね。

 

 

6.  まとめ

 

日本語の感覚・発想と異なる this の使い方

  • その場にいない人を this で指す(手元に写真や資料なし)
  • その場にない物を this で指す(手元に写真や資料なし)

この記事では日本語の「これ・この」の感覚と異なるこれらの this の使い方を「 this り方」と表現。

 

辞書、参考書の this の概念・使い方まとめ

  • 話し手の意識の中心にあると感じられるもの
  • 話し手が心理的に自分に属すると考える領域にあるもの
  • その時念頭にある考えをさす
  • 話し手の記憶の中だけにある人事物をさしていう
  • this には臨場感が乗っている
  • (心理的に)話し手の近くにある感じがする

この記事では↓

「話し手の心の距離が近いものを指す」

 

7.  おわりに(ネイティブの思考・気持ちを考える)

 

今回くどいほど書きましたが、この記事で取り上げたような疑問を持ったときは、ネイティブの考え方や、話しているときの気持ちを考えてみるのが答えに近づくアプローチかと思います。

ネイティブの思考や英語の発想を知るためには、以下の参考書などがおすすめなので、紹介しておきます。

<おすすめ書籍&DVD>

↑こちらは DVD ですが、同じ内容の書籍もあります。DVD はレンタルもできるので(店舗によると思いますが)、忙しい方にはレンタルと動画配信がセットでも利用できる TSUTAYA DISCAS/TSUTAYA TV がおすすめですよ。

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英語学習で地味にモヤっとする原因とは?

英語学習をしていると疑問が頻出するものですが、地味にモヤっとするのが「直訳すると日本語が不自然」な点です。特に英会話の場面、口語表現に顕著で「普段そんな言い方しねーし」と思ったことがある方も多いと思います。

例えばこんな表現です。

That's what I was told.
それは私が言われたことです

直訳していますが、この日本語は会話では不自然です。もう少し普段の会話っぽくすると「そう聞いています」です。とはいえ、実際には「〜のようです」「〜なんだって」というような言い方をしている人がほとんどだと思います。

(「〜のようです」「〜なんだって」は I heard that. や They (he, she) said that. と表現することもできます。)

つまり、モヤる原因は次の2つです。

 

地味にモヤっとする原因
  • 英語を直訳すると「普段頭の中にない日本語の言い回しになる」
  • 普段頭の中にある日本語を直訳すると「不自然な英語になるか行き詰まる」

 

「〜なんだって」と英語で言いたい場合は[なんだって → そう聞いています → それは私が聞いたことです]と変換して That's what I was told. を導き出すことになります。(最悪の場合)

こんなことをしているとテンポが悪くなって会話どころではなくなるし、頭が疲れて会話そのものを放棄したくなります。

しかし、[なんだって → That's what I was told. ]と直接変換できれば楽ですし会話をスムーズにこなせます。

 

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