Aegisub でスタイルを作成する方法と、作成したスタイルを字幕に適用する方法を紹介します。
スタイルを作成すると、フォントや色などの字幕の見た目を複数行まとめて一括で変更できるので、字幕ビューで1行ずつ指定する手間が省けます。作成したスタイルは Aegisub に保存することもできるので、字幕を新規作成するときに同じスタイルを使うこともできます。
活用方法としては、例えば2種類以上の字幕の同時表示があります。話者によって色を分けたい、英語と日本語を併記したい、注釈を加えたい、といったときに使えて便利です。

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1. スタイルとは
スタイルは「字幕の見た目」と解釈すると分かりやすいと思います。
具体的には次の7項目を指定して作ります。
- スタイルネーム
- フォント
- カラー
- マージン(余白)
- アライメント(字幕の表示位置)
- アウトライン(字幕の縁取りと影と背景)
- その他(字幕の幅や角度など)
各設定は変更するとプレビューに反映されるので、確認しながらスタイルを作成できます。
なお、言葉として字幕ではなくテキストを使うべき場面があるかもしれませんが、ごちゃごちゃしそうなので字幕に統一して説明します。
2. スタイルの作成方法
スタイルはスタイルエディタを使って作成します。
スタイルエディタウィンドウの開き方
スタイルエディタウィンドウを開くには次の2つの方法があります。
▽メイン画面でテキスト入力欄の [ Edit ] をクリックして開く
[ Edit ] ボタンの左のプルダウンメニューから編集したいスタイルを選択します。ここで選択できるスタイルは作成中の字幕ファイルに保存されているスタイルです。Default のスタイルを使わないのであれば Default を編集しても構いません。
スタイルを新規作成したい場合はスタイルマネージャー経由でスタイルエディタを開きます。
▽メニューバーの字幕からスタイルマネージャー経由で開く
スタイルマネージャーを開くと下の画像のウィンドウが表示されます。
画像につけた枠内が作成中の字幕ファイルに保存されているスタイルです。先ほどの Default が選択されています。これを編集するには、選択されているところをダブルクリックするか、選択された状態で枠内下部にある [ Edit ] ボタンをクリックします。
新規作成する場合は枠内の左下にある [ New ] ボタンをクリックしてスタイルエディタを開きます。また、すでに作成済みのスタイルの一部を変更して新たに作成したいときは、 [ Copy ] ボタンから開くとそのスタイルのコピーを編集できるので作業がスムーズです。
Point:メイン画面からとスタイルマネージャー経由の使い分け
メイン画面で作業中にスタイルを編集したくなったときは [ Edit ] ボタンから、スタイルを新規作成したいときはスタイルマネージャーから、と使い分けるとスムーズに作業できますよ。
作成したスタイルを Aegisub に保存したい場合や、Aegisub に保存したスタイルを作成中の字幕で使いたい場合は下記リンクの記事を参考にしてください。
スタイルエディタの使い方
スタイルは前項でも紹介しましたが次の7項目を変更して作成します。
- スタイルネーム
- フォント
- カラー
- マージン(余白)
- アライメント(字幕の表示位置)
- アウトライン(字幕の縁取りと影と背景)
- その他(字幕の幅や角度など)
プレビュー機能もあるので、合わせてそれぞれ説明します。
スタイルエディタを開くと下の画像のウィンドウが開きます。
画像は英語ですが日本語に置き換えて説明します。
スタイルネーム
スタイル名を変更します。
自分が分かりやすい名前をつけると良いでしょう。
フォント
フォント、フォントサイズ、太字、斜体、下線付き、打ち消し、を指定します。
フォントは字幕の行内や他の字幕行に日本語と英語が混在する場合は、日本語のフォントを選択します。英語のフォントを選択すると日本語が文字化けしてしまうのが理由です。
複数の言語があり、それぞれ別のフォントを使いたい場合は、言語ごとにスタイルを作る方法があります。
カラー
プライマリ:字幕の芯の色(カラオケ字幕で色が変わった後の色)
セカンダリ:カラオケ字幕で色が変わる前の芯の色
縁取り:字幕の縁取りの色
影:字幕の影の色
色の設定方法については下記リンクの記事を参考にしてください。
マージン(余白)
横、縦、上下の余白を指定します。
アライメント(字幕の表示位置)
字幕の表示位置を、大まかに設定します。
数値がある枠を画面に見立て、表示させたい位置に割り当てられた数値を選択します。
VLC プレイヤーで字幕の表示位置を0にして表示すると下の画像のようになります。
⑦⑤③に文字を入れると下の画像です。
字幕はそれぞれ左揃え、中央揃え、右揃えになります。
(揃えが分かりやすいように for の後で改行しています)
余白の設定と合わせて微調整します。
ちなみに、動画ビューでマウスをドラッグして自由に配置できますが、この場合は字幕行ごとに指定するので、スタイルのようにまとめて指定することはできません。
アウトライン(字幕の縁取りと影と背景)
字幕の縁取りと影をそれぞれ数値を変更して指定します。
[ Opaque box ] はチェックを入れると字幕の背景に黒のボックスが表示されます。この色や透過度は変更できないようです。
その他(字幕の幅や角度など)
その他は言葉の説明よりも各数値を変更してプレビューを確認する方が分かりやすいと思います。
字幕を X または Y 方向に引き伸ばしたり縮めたり、角度を調節したり、文字と文字の間を調節したりできます。
行間(改行したときの上下の字幕の間隔)は変更できないようです。
[ Encoding: ] では文字コードを変更しますが、私は変更したことがありません。もし、特定の言語で文字化けするような場合は、該当するコードを選択すると解消されるかもしれません。
プレビュー
プレビューには各設定の変更が反映されて表示されます。
表示されているテキストを変更したい場合は、テキストボックスに任意のテキストを入力します。
プレビューの背景色はテキストボックスの右のボタンから変更できます。
3. スタイルを字幕に適用する方法
スタイルの作成ができたら、メイン画面に戻ります。
字幕ビューでスタイルを変更したい字幕を選択します。選択は1行ずつもできますし、複数の字幕行を選択してもかまいません。
なお、Mac では、 [ shift ↑または↓] で隣り合う字幕行を、 command を押しながらのクリックで任意の字幕行のみを複数選択できます。
字幕行を選択した状態で、メイン画面で下の画像のようにプルダウンメニューをクリックします。
先ほど作成したスタイルをクリックすると適用されます。
画像では2つのスタイル( Default B と C )を加えてそれぞれ適用させています。
適用すると字幕ビューの [ Style ] の列に適用したスタイルネームが表示されます。
字幕を動画に焼き付ける問題
Aegisub ではテレビや YouTube のような字幕やテロップを作れますが、字幕を作ったら、字幕を付けた私的な動画を DVD にしたり YouTube で公開したりしたい場合があると思います。
しかし、Aegisub で作るのはもちろん字幕ファイルであって動画ファイルではありません。そこで、字幕を動画に焼き付ける必要があります。
字幕を焼き付けるとは、字幕を画像として映像の上に貼り付けることです。テレビ画面(動画)にシール(字幕)を貼る行為、と例えると分かりやすいかもしれません。そのため字幕の非表示はできません。
この「動画に字幕を焼き付ける」作業を私は以前したことがあるのですが、少々というか、結構な問題でした。
無料で動画に字幕を焼き付ける方法
動画に字幕を焼き付ける方法は、無料ではまず FFmpeg を使う方法がありますが、これは私はよく分からず挫折しました。簡単らしいのですが。。
そこで Windows 用のフリーソフトを使ったのですが、画質も音質も劣化して残念でした。ソフト名は忘れてしまい探しても見つからないので紹介は諦めましたが、私が使った感触ではあまりおすすめできるものではありませんでした。
無料の動画作成ソフトで字幕を付けた方がいいかも
動画編集ソフトでも字幕は付けれます。Windows ではマイクロソフト社の Movie Maker が無料で使えます。
Mac では iMovie があるのですが、字幕を付けるためにはいまいちなようです。
やっぱり有料の動画編集ソフトが便利そう
とにかく無料でがんばる私ですが、有料ソフトの誘惑に負けることもあります。字幕やテロップ付きの動画が作れるソフトでは Windows 用の動画編集ソフト「 VEGAS Movie Studio 17 」が良さそうです。
私は使ったことがないのですが、カラオケ字幕の作り方を YouTube で見ると使いやすく、動作が軽そうでした。カラオケ屋さんのようなカラオケ字幕でした。
画面を流れるような字幕も作れるようです。Blu-ray に書き出すこともできるので、同価格帯の他社製品と比べると機能的に一歩リードしている印象がありました。私が買うならこれですね。
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Amazon でも購入できますが、ソースネクストでの購入がおすすめですで、VEGAS 製品はよく割引キャンペーンをしている印象があります(情報はメルマガ登録がおすすめ)。
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