聞き流すだけの英会話教材「スピードラーニング」を体験してみたので、感想や効果、どんな人に向いているかを紹介します。
「聞くだけでペラペラは厳しいが単語で意思疎通ならできるようになる」「無料 (条件あり) ですぐに始められるので初心者も試す価値はある」が結論です。
また、「聞き流すだけで英語が話せるか」について10年以上独学で英語学習をしてきた私の見解を紹介します。
1. どんな教材?
スピードラーニングを知らない世代の方もお読みだと思うので、簡単に紹介します。
スピードラーニングは2000年代初頭に一世を風靡した英会話教材です。当時は日本国内で社会現象と言えるくらいの大きな注目を集めていました。350万人が体験したようなので、英会話教材としては空前絶後の大ヒットと一大ムーブメントを起こしたと言えるでしょう。
一方「聞き流すだけで英語が話せる」というキャッチコピーに「胡散臭い、そんなわけはない」という印象を持つ人も多かったようです。(私もその1人)
とはいえ、当時の日本では「英語学習は文法から」という認識が一般的だったように思います。そんな中「音から」という発想を提案して広めた功績は多大だったのではないかと今では思っています。
なお、現在は「聞き流すだけで英語が話せる」という表現は使われていないようです(もしかして当時も使われてなかった?)。そんな印象を受ける表現は今も使われていますが。
オトバンクなどで復活
スピードラーニングのサービスは終了していたようですが、現在はオーディオブック配信サービスの audiobook.jp で全シリーズが聴き放題となり、製品自体は ソースネクスト で販売中です。
「とりあえずお金を払わずに試したい」という方には audiobook.jp がおすすめです。
記事の冒頭に「無料 (条件あり) ですぐに始められる」と書いたのは、audiobook.jp の聴き放題プランは初めて登録すると無料で利用できるからです。
私は元々ユーザーだったので気持ち的には無料でスピードラーニングを体験できました。
audiobook.jp についてやお得にスピードラーニングを利用する方法を終章「お得に利用するなら?」で紹介しているので参考にしてみてください。
まずは無料で「聴き放題プラン」を試す – audiobook.jp
「平成な」英会話教材
スピードラーニングは「一昔前の英会話教材」という印象です。一昔前だからといって悪いわけではないのですが、VR 空間で AI と英会話のトレーニングができるサービスもある現代では「ちょっと古い」と感じてしまいます。
SNS や AI の話題がなさそうなのもその理由です(まだ全て聞けていないので実際にはあるかも)。
この辺りについては「7. 今さらスピードラーニングを使う理由」を参考にしてほしいと思います。
2. 聞くだけの効果は?
スピードラーニングでは以下の3ステップで学習します。
ステップ1:「ガイド」を聞いて理解する
ステップ2:「聞き流し」で音声をくり返し聞く
ステップ3:「口慣らし」英語を真似て口に出す
✔︎「口慣らし」は audiobook.jp の初級にはない
ステップ3の「口慣らし」教材は audiobook.jp の「初級 ( Vol.1~24 ) 」には付属していないようです。「中・上級 ( Vol.1~24 ) 」では「単語・熟語」があり、これが口慣らしに当たるのかもしれません。
私が利用したのは audiobook.jp なので「口慣らし」の内容と効果は分かりません。なお、ステップ3では口に出すので「聞くだけ」ではなくなります。
3ステップについて詳しくは こちら のソースネクストのページをご確認ください。
スピードラーニングの聞くだけの効果
スピードラーニングの特徴から聞くだけでも以下の効果があると感じました
- ガイドを聞くだけで自然な英語表現をインプットできる
→ 記憶に残りやすい
※ 音声は[英語-日本語]と[英語のみ]もある - 初心者でも英語を聞き取れる
- 長めの文にも対応できそう
ガイドを聞くだけで自然な英語表現をインプットできる
スピードラーニングの「ガイド」ではラジオ講座のように、他人のレッスンを隣で聞いている感じになるので、聞くだけで会話のポイントを学習できます。これがスピードラーニング最大の特徴だと感じました。
このガイドは「初級 ( Vol. 1~24) 」に収録されています。ガイドの中身は日本人女性の生徒とアメリカ人男性の講師のレッスンです。これを隣で聞く形なので、自分も英会話のレッスンに参加している感じになります。
ガイド付き音声では会話例が[英語 → 日本語訳]の順で流れ、一通り聞いたらガイドを聞く形になっています。ガイドでは講師が会話のポイントを「この表現はこういう意味になる」「ここでこのフレーズはこういう意味で使われている」といった感じで解説しています。
ガイドで解説されるフレーズには学校で習わない自然な英語表現があります。中学校で習ったすでに知っている単語でも意外な意味になるものもあります。使い方を覚えるだけなので、楽に使いこなせるようになるでしょう。
なお、あくまで主観ですが、ガイドで取り上げられた表現は記憶に残りやすいと感じます。英語のみの音声を聞いているときに「これはガイドにあったやつだ」と復習になるのも覚えやすい理由です。
初心者でも英語を聞き取れる
英語の発話はとてもゆっくりと、はっきりとしています。非常に聞き取りやすい音声なので初心者も学習しやすいでしょう。
会話例で聞き取れなくても、ガイドの解説を聞いたあとでなら聞き取れると思います。
とはいえ、スピードラーニングの英語を完璧に聞き取れるようになっても、洋画の英語を完璧に聞き取れるようにはなりません。つまり、自然に話すネイティブスピーカーの会話も聞き取れるようにはなりません。
ただし、知っている単語(名詞)であれば聞き取れる確率は高くなるので、会話で「相手が言っていることはなんとなく分かる」くらいにはなりそうです。
長めの文にも対応できそう
ソースネクストサイトのスピードラーニングのページ にあるテキストブックの抜粋にあるように、長めの文は音声も短く区切られています。「長めの文は苦手」な方も安心です。
短く区切られている文は、区切りごとに訳されているので日本語訳は少し不自然になっています。違和感を覚えるかもしれませんが、実はこれ、長めの文を英語の語順のままで理解するのに有効です。気にせず受け入れるのが英語を習得するためのコツです。
ただし、スピードラーニングの例文の多くは短めで、区切りごとに分けられている長めの例文は少ないです。長めの文に対応できるようになるほどの量はないかもしれません。
とはいえ、実際の会話も1文は短めなので「長文を攻略してやろう」という意気込みは不要です(一方が長々と語る場面を除けば)。「長いときはこんな感じで理解すればいいのか」という感じで聞いていれば長めの文にも対応できそうな気がします。
3. 英会話の内容は?
スピードラーニングの学習内容は日常英会話です。会話シーンは定番の「あいさつ」や「海外旅行」だけでなく、日本とアメリカの文化の違いについての雑談、家族や友達との会話など多岐に渡ります。
トピックは audiobook.jp のスピードラーニング各ページにあるので確認してみてください。
残念なのは SNS や AI の話題がなさそうなところです。話題の YouTube 動画についての会話例や、「 SNS 映え」の英語表現などがあると即効性がありますからね。まだ全て聞けていないので実際にはあるかもしれませんが、トピック一覧を見る限りではありません。
なお、スピードラーニングの初級はあいさつから始まりますが、教材の順番で学習する必要はありません。自分が興味を持った内容や実際に使いそうなものから学習するとよいでしょう。
4. どんな人に向いている?
スピードラーニングがどんな人に向いているか、私が思いついた方を紹介します。
「日常英会話を学習したい人」に向いているのは前提です。
- 初心者で何から始めていいか分からなくて困ってる
- 長年英語を学習しているが話せない(みんなには内緒)
- スキマ時間を活用したい
スピードラーニングの初級にはガイドがあるので初心者も安心して学習できるでしょう。
「長年英語を学習しているけど話せない人」は、難しい単語を覚える、ニュースや論文を読む、といった学習ばかりしているのかもしれません。一度肩の力を抜いて、スピードラーニングのガイドを聞いてみると自分に足りなかったものが明確になってくると思います。
「スキマ時間を活用したい人」にスピードラーニングは特に向いています。通勤や通学の時間や、家事や運動をしている時間を学習化できます。私もスキマ時間に英語力を伸ばしてきたので「耳が暇していたら聞く」という学習はおすすめです。
その際におすすめなのがこちら。

小型でクリップ付き、電源を入れて最少2回ボタンを押すだけで前回学習を終えたところから再生できる手軽さがおすすめする理由です。
なお、audiobook.jp の聴き放題はアプリ限定なのでこのプレイヤーでは聞けません。
「今すぐ英語を話したい人」には不向きな点も
スピードラーニングはどちらかと言うとインプット向けの教材です。話すためにはアウトプット練習をする必要があるので聞くだけでは不十分だと私は思っています。インプット学習だけでは「話そうとすると英語が出てこない」になりがちだからです。
とはいえ、スピードラーニングの製品版には「口慣らし CD 」があるのでアウトプット練習ができないわけではありません。
トピックの内容がハマればすぐに使えるし、使えばアウトプット練習になります。「明日こんな会話しそうだな」と予想できる場合は、その内容に近いトピックで学習しておくとよいでしょう。この場合は「今すぐ英語を話したい人」にも向いています。
次章でスピードラーニングを使ってアウトプット練習をする方法を紹介するので参考にしてみてください。
5. アウトプット練習する方法
スピードラーニングは「聞くだけ」の英会話教材ですが、聞くだけでなく発話もするとアウトプット練習になります。アウトプット練習をすると「話せる」に近づけます。
アウトプット練習には相手とするものと1人でするものがありますが、スピードラーニングでできるのは当然ながら1人でするものです。(相手とする方が圧倒的に効果は高い)
スピードラーニングの製品版には「口慣らし CD 」があるのでアウトプット練習できます。
audiobook.jp には「口慣らし」がないので、以下のようにします。
- シャドーイングをする
- 無音部分や日本語音声の間にリピーティングをする
✔︎ シャドーイング:お手本の音声を聞きながら追いかけるように発話
✔︎ リピーティング:お手本の音声を聞いたあとで同じ内容を発話
スピードラーニングの音声には[英語 → 日本語]と[英語のみ]があります。
[英語 → 日本語]では、英語音声の再生中にシャドーイング、無音と日本語音声の再生中にリピーティングをします。
[英語のみ]では、英語音声の再生中にシャドーイング、無音の部分でリピーティングをします。
リピーティングはできる限り何回も行います。
シャドーイングはこちらの記事で紹介している方法がおすすめなので参考にしてほしいと思います。
6.「聞くだけで話せる」はあるか?
多くの人(全員?)がスピードラーニングに胡散臭さや懐疑心を持った理由はキャッチコピーの「聞き流すだけで英語が話せる」の「聞き流すだけ」という部分だと思います。
[聞き流す → 無意識で聞いても英語が話せる]と解釈するのは自然なので「そんなワケねえだろ」と私もツッコミを入れた記憶があるような気がします。
この章では、スピードラーニングに限らず「聞くだけで英語が話せるようになるのか」について私なりの考えを紹介します。
「聞くだけで英語が話せる」は条件付きである
「聞くだけで話せる」は以下の条件では「ある」と私は考えています。
- 英文を組み立てる能力が高い
- 内容が印象に残って覚えている
- 明日使う可能性が高い
英文を組み立てる能力が高ければ聞くだけで英語が話せると思います。英語のアウトプット力が高いので、聞いて覚えた内容を話すのは難しくないと考えられます。
聞いた内容が印象に残っている場合も話せます。私も「思わず口から英語が飛び出たと思ったら日本アニメ英語版のセリフだった」という経験があります。なお、このケースは短いフレーズだったので「話せる」とは言えませんが、このようなフレーズの蓄えが多くなると話せるようになるでしょう。
明日使う可能性が高い英語を聞くと記憶に残りやすいし、実際にその場面になると思い出しやすいので話せると考えられます。私もネイティブスピーカーの友達と出かける日の数日前から、当日使いそうな英語や、趣味に関する英語や冗談を仕込んでおいて実際に使いました。
私のように準備も必要ですが、スピードラーニングには多くのトピックがあるので当日使いそうなものを選んで聞いておくとより話せるのではないかと思います。
7. 今さらスピードラーニングを使う理由
スピードラーニングは「一昔前の英会話教材」という印象です。一昔前だからといって悪いわけではないのですが、AI と VR 空間で英会話のトレーニングができるサービスがある現代では「ちょっと古い」と感じてしまいます。
- CD (音声) とテキストだけ
- 現代的な話題がない
→ SNS や AI などの話題がない - 「話す」に対する効果が低い?
→ 製品版には「口慣らし CD 」が付いている
他でも書きましたが、アウトプット練習は相手がいる方が圧倒的に効果が高いです。AI との練習は「好きなときに好きなだけ、自分が納得できるまで、恥ずかしがらずにできる」のでおすすめです。自分が喋った内容や発音を数値で客観的に評価してくれるという点もおすすめです。
SNS や AI のような現代的な話題がないのでちょっと古いと感じます(私がまだ全て聞けていないので実際にはあるかもしれません)。SNS を使うときの注意点や、お気に入りの YouTube 動画についてのトピックは実際の会話で使う確率が高いので学習したい内容です。
また、以下の点で「話す」に対する効果が低いと思います。
- 発音を学習しない
- 英会話の教材なのに発話しない
- インプットしかしない
「聞くだけ」をテーマにした教材なので当然ではあります。
発音は、製品版に付属の「口慣らし CD 」では「キレイな発音を身に付けられる」(商品説明より)ようなので習得できるのかもしれません。
発音は習得すると英語が聞き取れるようになるので、一番最初に発音の基礎を習得すると最も学習効率がよくなると私は考えています。
AI と会話できるサービスやおすすめの発音教材はこちらの記事で紹介しているので参考にしてみてください。
とはいえ、初心者がいきなり AI 相手に英語で会話をしようとして「単語も出てこない汗」となると AI の持ち腐れになるかもしれません。
そうならないために、まずは聞くだけでインプット学習ができるスピードラーニングを使うのもいいと思います。
最善策は併用です。アウトプット練習は場所や時間を選びますが、スピードラーニングは聞くだけなので場所や時間をあまり選ばずに学習できます。外出先ではスピードラーニングを聞く、家ではじっくり AI とアウトプット練習、とすると効果的に学習できるでしょう。
外出先では「5. アウトプット練習する方法」もおすすめです。
8. お得に利用する、購入するなら?
スピードラーニングをコスパ良く利用するなら audiobook.jpがおすすめです。全シリーズが聴き放題なのが理由です。一方、CD やテキストで購入するなら ソースネクスト 一択です。
どちらにするか迷ったら、まずは「無料 (条件あり) ですぐに始められる audiobook.jp 」で試すのがおすすめです。
この章では、audiobook.jp での利用とソースネクストでの購入をする際のお得な情報や注意点について紹介します。
audiobook.jp が高コスパな理由
スピードラーニングが audiobook.jp でコスパ良く利用できるのは以下の理由です。
- スピードラーニング全シリーズが聞き放題
● 英語 初級 ( Vol. 1~24 )
● 英語 中・上級 ( Vol. 25~48 )
● 中国語 (おもてなし編)
● 韓国語
● フランス語 - 14日間無料(初回のみ)
● 紹介コード [ dGZcje1R ] 入力で1ヶ月ほど延長 - 英語学習書籍のオーディオブックもある
- ビジネス書や小説も多数
- 継続利用でも無料でスピードラーニングが聞ける(気分的に)
audiobook.jp の聴き放題プランは月額課金制(年額プランもある)のサービスで、スマホやタブレットのアプリで手軽に利用できます。
初めて聴き放題サービスに登録すると14日間無料で利用できます。
もしスピードラーニングを聞いてみて合わないと感じても無料ですし、audiobook.jp ではビジネス書や小説なども数多く聴き放題で配信されているのでお得なのは間違いありません。私は元々ユーザーだったので気持ち的には無料でスピードラーニングを体験できました。
英語関連ではこちらも聴き放題の対象でおすすめです。

私も audiobook.jp のヘビーユーザーで(主にビジネス書を聞きまくっている)、毎日家事やウォーキングをしながら知識が増えています。首が悪く本を読めない(読むと最悪な状態になる)ので助かってもいるのでおすすめです。
audiobook.jp のデメリット
audiobook.jp でスピードラー