シャドーイングという英語の学習方法があります。これはお手本の英語の音声を聞きながら同時かやや遅れて真似して発音するものですが、一般的に言われているやり方よりも省エネで行っても効果があるというか、私にはより高い効果があるように感じたので、そのやり方を紹介します。
あくまでも私にとって高い効果があっただけなので一般に言えるかどうかは分かりませんが、自分にとって効果がありそうだ、やりやすそうだと思ったら取り入れてみてください。

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1. 口パク・囁きシャドーイングのメリット
省エネでシャドーイングするとは、声をはっきりと出さずに、口パクしながら、あるいはささやきながらシャドーイングする、ということです。
4つのメリットがあります。
- お手本の音声が聞き取りやすい(自分の声が邪魔にならない)
- どこでもできる
- 喉が疲れにくい
- 洋画や海外ドラマを見るだけにならない
お手本の音声が聞き取りやすい(自分の声が邪魔にならない)
普通の音量で発音しながらシャドーイングすると自分の声でお手本の英語音声が聞こえにくいのですが、口パクやささやく程度ですると自分の声でかき消されず聞こえやすいです。
お手本が聞こえやすいと発音練習では真似しやすいので効果的です。より正確に真似できると英語の音を聞き取る能力も上がります。
お手本を聞き取りやすくするためにイヤホンやヘッドホン、ウェアラブルスピーカーを使うという方法もありますが、結局は自分の声を下げた方がより聞き取りやすいです。
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どこでもできる
マスクをして、口パクやささやく程度の音量で、口を小さく動かせば、電車の中でも周囲にバレずにできます。
家族などと同居している場合は普通の音量でも迷惑になってしまうかもしれませんが、ささやく程度なら大丈夫だと思います。恥ずかしい場合でもバレずにできます。
なお、歩きながらでもできますが、ながらスマホと同じくらい危険かもしれません。自分だけでなく周囲の安全が十分に確保できない場合はやめましょう。
喉が疲れにくい
これも大きなメリットです。私は洋画や海外ドラマを見ながらしていると10分くらいは続けてしてしまうのですが、それでも喉は疲れにくいです。
頭の方が疲れてきて休憩したくなってくるのですが、このタイミングで同じ部分を見直したり、そのまま見続けると、一時的ではあるにせよリスニング力が高まった状態なのでいつもより聞き取れて気分が良いです。もちろんこれを続けると一時が常時になります。
喉が疲れにくいということは、体調管理や職業的な事情で普段はあまり喉を使わないようにしなければならない人も実践できると思います。
口パクでは喉を全く使わないので、加湿器やマスクで乾燥させないようにすれば影響を最小限に抑えられます。
洋画や海外ドラマを見るだけにならない
洋画や海外ドラマの英語字幕を表示させてリスニングするときに、実際には字幕を眺めるだけで英語の音を聞いていない、あるいは聞けているつもりになっていないでしょうか。シャドーイングをするとこれを防げます。
洋画や海外ドラマでは字幕通りというか、サンプルのような発音をしない場合がほとんどです。音を省略することが主な原因ですが、口パクやささやきではそのような箇所に気付きやすくなるのもメリットです。
うまく発音できないところは自分の苦手なところなので、シャドーイングすることが「苦手スカウター(発見機)」となって苦手を見つけられますし、そこを繰り返し練習することで苦手を克服できます。
次に、リスニング力向上目的でのやり方と実践例を紹介します。
2. リスニングでのやり方
リスニング力の向上を目的とする場合は、次の3段階に分けてシャドーイングを行うと効果的です。
- 意味を考えずに、お手本の真似だけをする
- 意味を考えずに、意味の区切り(まとまり)を意識しながら、お手本の真似をする
- 区切りごとに意味を考えながら、お手本の真似をする
各段階を行う回数は具体的に決める必要はなく、繰り返すうちに慣れてきたと感じたら次の段階に進みます。
1. 意味を考えずに、お手本の真似だけをする
意味を考えずにするのは不安になるかもしれませんが、慣れないうちは意味を考えると音に集中できなくなります。
この段階では「音を聞き取る能力のため」と割り切って行ってください。
意味は後からついて来ればいいのです。
実際には、「語彙がしっかりと身についていれば」という条件付きですが、この段階を繰り返すだけでも意味が分かってきます。
2. 意味を考えずに、意味の区切り(まとまり)を意識しながら、お手本の真似をする
第1段階に慣れたら意味をまとまり毎に区切りながらシャドーイングします。この段階でも意味は考えません。
区切りながら読む方法はスラッシュリーディングと言います。分かりにくい場合は下記のサイトで意味毎に区切った字幕で動画を視聴できるので確認してみてください。
一部の動画は登録不要で無料で視聴できます。
3. 区切りごとに意味を考えながら、お手本の真似をする
この段階で意味を考えるのですが、ポイントは区切り毎に意味を考えるところです。これはなるべく英語の語順で理解するトレーニングです。
頭の中できれいな日本語になるように並べ替えたりはしません。
その他
▽段階的トレーニングがおすすめ
リスニングでは大きく分けると「音を聞き取る」と「意味を理解する」の2つの処理を脳が行なっています。少なくとも私の頭はそんな感じです。
ネイティブスピーカーやバイリンガルでなければ同時に行おうとするとマルチタスクとなり脳が混乱するというか、実際にはどちらか一方しかできず、チャンネルを素早く切り替えている状態で、結局はどちらもできていない状態になります。
そうならないためにも、困難は分割して、段階的なトレーニングが必要だというのが私の考えです。
慣れてくると「英語でイメージが浮かんで日本語で理解する」みたいな感じになると思います。英語のまま理解する場合もあります。少なくとも私の頭はそんな感じです。
なお、実際にはリスニングではもう1つ、脳は予測や推測もしています。これには慣れと経験と余裕が必要です。練習あるのみです。
▽口パクか囁くか
シャドーイングを口パクで行うか、ささやきで行うかは、その場の状況次第(外、家、周りに人がいるなど)ではありますが、リスニング学習の効果の面で考えると、初めのうちは口パクかわずかにささやく程度にします。
お手本が聞き取りやすいのが理由です。ささやくときも口はあまり動かさない方がお手本を聞く方に集中できます。
慣れてきたら口を大きく動かして、ささやきでは音量を上げます。ささやきといっても音量を上げすぎると心の声も大きくなってお手本の音声がかき消されてしまうので、無理なく聞き取れる程度に上げます。
これは発音練習の場合も同様です。
3. 発音練習
発音練習は、リスニングの第1段階と同様に意味を考えないで行います。聞こえてくる音に集中して、忠実に再現するように真似をします。
口パクかささやきかはリスニングの項目で述べた通りです。初めは口パクかわずかにささやく程度で口の動きは小さく行い、慣れてきたらささやきの音量を上げて口の動きも大きくします。
発音練習はリスニングの第1段階と同じですが、慣れてくると次のようにします。
- 口を大袈裟に大きく動かす
- 最大音量でささやく
- 子音は特に強く発音する(喉の奥に引っかかる感じも再現する)
1. 口を大袈裟に大きく動かす
口を大きく動かすのは、英語の口の動きのトレーニングのためです。筋トレのようなものですね。口のマッスルメモリーを鍛えます。やってると口が覚えます。
できる限り口を大袈裟に動かして練習しても、実際に話すときにはちょうど良いくらいになります。
2. 最大音量でささやく
できる限り大きい声でささやくのも筋トレのようなものです。マッスルメモリーを鍛えて、口が覚えるまで練習します。
3. 子音は特に強く発音する(喉の奥に引っかかる感じも再現する)
子音は日本語にない音が多いので特に意識して強く発音して練習します。
話者によっては喉の奥に引っかかるような感じで発音する場合があります。深い発声となるのでより英語らしい音になります。これも日頃から意識して行うのがおすすめです。
深い発声をする人が登場する海外ドラマを下記リンクの記事にまとめています。男性向けとしていますが女性ももちろん参考になるので確認してください。
これらもマッスルメモリー強化のためですが、muscle memory は運動神経みたいなものだと私は思っています。
海外のストリートワークアウト技のチュートリアル動画では「やっていれば体が覚えてできるようになる」といった文脈やメッセージで使われています。
「やればできる」とか「体で覚える」と言うと自分が主体っぽいですが、「やっていれば体が覚える」なので体が主体っぽい感じがします。
関連カテゴリー
› Street Workout & Calisthenics
その他(苦手をなくす)
シャドーイングで発音練習をしていると言いにくいところが出てくると思いますが、まずはなぜ言いにくいのかを考えます。
知らない単語だったら知らなかったことが原因だと考えると思いますが、仮に日本語でシャドーイングをしていて知らない単語があった場合にも言いにくくなるでしょうか。よほど難解な専門用語や古語でなければ言えるはずです。これは音を知らないことと、身についていないことが原因です
知っている単語が並んでいるのに言いにくかった場合も、音を知らないことと身についていないことが原因です。
先ほども少し述べましたが、シャドーイングは「苦手スカウター」になります。苦手なところを発見したら10回くらいぶつぶつと繰り返し発音(真似)してから次に進むと良いでしょう。
4. 洋画や海外ドラマでチャレンジする前に
シャドーイングを英会話を目的として行う場合は、洋画や海外ドラマをお手本とすると効果的で効率的です。理由は実際の会話の発音に近いからです。
しかし、初めて取り組むと難しいと感じてしまうかもしれません。その場合は、まずは字幕を見るだけという学習方法を記事にしています。
字幕を見るだけなので効果は薄いですが、挫折するよりはマシなので参考にしてみてください。
› 洋画・海外ドラマを見ていたら英語リーディングにも効果があった学習法
また比較的ゆっくりと発音される洋画や海外ドラマもありますし、アニメもゆっくりな傾向があります。それらで学習するのもおすすめです。
› ハリー・ポッターと英語学習の廃人(になるくらいの勉強法)
›「けいおん!」は日常英会話フレーズの宝庫!英語学習おすすめアニメ
▽洋画や海外ドラマを使ったおすすめ学習方法
洋画や海外ドラマで英語学習をするようになり数年、「こんなにシンプルで短く言えるんだ」というセリフに出会うものの、恥ずかしながらその法則が分からずにいました。英語の発想で文を組み立てる意識はしていたものの、どうしても反射的に[日本語 → 英語]の翻訳をしていました。
そんなとき、中山裕木子著「会話もメールも 英語は3語で伝わります」という本を読むと(正確にはオーディオブックのサンプルを聞くと)、目から鱗が落ちて SVO が鍵だと納得しました。
一番良いのは「 SVO で英文を作る」と決めておくと迷わなくなり余計な脳力を使わなくなるところです。さらに、言いたいことを組み立てるときの道が増えた感じがします。この方法に慣れると、同じ内容でも SVO で作る場合と be 動詞や受動態などで作る場合のニュアンスの違いを理解し、最適な文法を選択してより幅広く自由な英語表現ができるようになるはずです。
おまけ的に、SVO を意識する癖をつけると英語を聞く場面では内容を予測しやすくなるのでリスニング力向上にもなります。おまけとしては大きな効果です。
会話もメールも 英語は3語で伝わります [ 中山 裕木子 ]![]() | ||||
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オーディオブックは audiobook.jp にて無料で一部をサンプルとして聞けるので、ぜひ聞いてみてください。英語学習にお金を使わないスタイルの私ですが、月額プランのボーナスで購入したのでカウントしていません。。
↓サンプル視聴先
オーディオブックは通勤や通学のスキマ時間や、家事などをしながら聞くのがおすすめです。時間がなくても「1日1トラックを繰り返し聞く」と頭に入りやすいです。倍速版もあり、慣れるとこちらの方が集中して聞けるし、復習に便利で時短にもなるのでおすすめです。