見てなくても濃い英語学習ができるディズニー映画「アラジン(Aladdin)」のフレーズと解説集です。
翻訳するだけではニュアンスが分かりにくかったり微妙なズレが生じたりする表現、ネイティブスピーカーのイメージや感覚で理解しないと使いこなしにくい表現、英語好奇心をそそられる表現を中心に集めました。
日本語の発想では思いつかないセリフでもあるので英語学習を効率化できると思います。
作品を見ていなくても文脈がなるべく分かるように解説していますが、英語感覚を身につけるためにもぜひ視聴しながら1つ1つ確認してください。
この記事はチャプター9〜12( 1:02:17 – 1:38:47 )です。
ご注意
あくまでいち素人の考察です。正確な解説を心がけておりますが間違いがあるかもしれません。参考程度かエンターテイメントとしてお楽しみいただければ幸いです。
▽動画配信サイトで「アラジン」を見る
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※本ページの情報は2021年5月19日時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。
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Chapter 9( 1:02:17 – 1:09:18 )
リンク先は 英辞郎 on the WEB の当該ページです。
例文が豊富なので合わせて確認すると表現のニュアンスや使い方が掴みやすいです。
1/4
1:03:30
This offer will not be on the table for long, you see.
字:気長に待ってはいられん
アラジン(アリ王子)に「私と手を組めば望むものが手に入る」と提案するジャファーのセリフ。
「この申し出は長い間テーブルの上に (乗って) ない」ということで、日本語字幕ではそれが意味するところが表現されています。
table は交渉のイメージで使われることがあります。交渉の場面ではテーブルがイメージされるからでしょう。
似た表現で、細々したことは plate に乗っている場合があります。
↓の記事で紹介しているので合わせて確認すると覚えやすいと思います。
› 洋画 The Intern/マイ・インターン でビジネス英語&大人の嗜みを学ぶ
you see は「相手に聞いて理解してほしい」と伝える表現のようです。ネイティブスピーカーへの質問サイト HiNative にありました。
› you see, と you know, はどう違いますか?
「あなたは知らないかもしれないが…」というニュアンスがあると説明する日本語のサイトもありました。詳しくは検索して確認してください。
調べた上での私の解釈ですが、you see ~ は「あなたは〜 (な状況) を見る (ことになる) 」と断言することで忠告する表現になるのかなと。
2/4
1:03:41
GENIE: So, I guess that’s the guy.
ALADDIN: That’s the guy.
ジーニーは the を「ディ」のように発音し、アラジンは「ザ」のように発音しています。
母音の前の the を「ジ」と発音するのは英語学習者のために作られたルールらしいです。ネイティブスピーカーはこのルールを知らないようで(聞かれて気づくらしい)、使い分けも曖昧なようです。
ただし、共通の使い分けもあり、それはこのセリフのジーニーのように「強調するとき」です。
簡単なのですぐ真似できますし、ネイティブスピーカーに近づいたと1人で良い気分になることもできます。
3/4
01:04:15
They’ll see right through me.
字:見破られる
「正体がバレる」と心配するアリ王子(アラジン)のセリフです。
see through は「〜を通して見る」から「本質を見抜く、正体を見破る」という意味もあります。
right は副詞「まさに」の意味で強調しています。語源は「まっすぐな」です。リンク先には right を挟んだ例文がいくつかあるので see right through はよく使われる形のようです。
日本語にもなっている「透けて見える」という意味の「シースルー」をイメージしても分かりやすいと思います。
リンク先では5つに分けて意味が紹介されており、「嘘を見抜く」だけでなく「性格が分かりやすい」などの意味もあり様々な場面で使える表現です。
4/4
1:07:03
(MOUTHING) What am I supposed to?
アラジンが口の動き(口パク)だけでジーニーに伝えています。発音はしていません。
そのためか What のところでほっぺたを膨らませています。ちょっとかわいいです。
Chapter 10( 1:09:18 – 1:21:52 )
1/10
1:10:01
ALADDIN: I thought you said you never had a friend like me.
GENIE: No, I said you never had a friend like me!
アラジン:僕を “最高の友達” って
ジーニー:違う お前じゃない 俺が最高なんだ
2人が口論になり、出会ったときにジーニーが歌で You ain’t never had a friend like me(字:こんな友達いないよね?)と言ったことをアラジンが持ち出しています。
アラジンは me と言うときに手の仕草で自分を指し、ジーニーは you と言うときにアラジンを指し、me のときは自分を指しています。
アラジンが主語を取り違えて勘違いしたとは思えないので、3つの願い事の対象外として、友達として願い事を聞いてもらうために都合よく解釈したのだと思います。
なお、Chapter 5-8 の記事でも解説しましたが You ain’t never had a friend like me の ain’t never は「なくない?」のような言葉遊びです(詳しくは記事を参照)。
このシーンでは ain’t は使われていませんが、同じ意味になっています。
2/10
1:10:20
You hooked me. See you there?
字:分かった やろう
音:やる気出まくり 待ってろよ
アラジンが「ジーニーが侍女の気をそらしてくれたら自分は王女と…」とほのめかしたことにすかさず反応したジーニーのセリフです。ジーニーは侍女を気に入っているのでやる気になります。
直訳は「俺を釣った (ひっかけた) 」ですが、転じて[気持ちを釣った (心にひっかけた) → 夢中にさせた]という意味になります。
日本語でも「 (男を) 誘う」という意味で「引っ掛ける」と言いますが、同じ使い方が hook にもあります。
あるいは[ (ボクシングの) フックを決めた → やられた (降参) → そうするしかない]というイメージかもしれません。
フックは他のパンチよりも意外なところからくるので「その手できたか」というニュアンスも多少はあるかもしれません。
3/10
1:10:55
Tell Prince Ali the way to her heart is through her mind.
字:アリ王子に “心が肝心” と伝えて
DeepL は「アリ王子には、彼女の心に通じる道は彼女の心の中にあると伝えてください」と訳しました。
さらに、The way to her heart is through her mind. と DeepL すると次の訳になりました。
「彼女の心への道は、彼女の心を通っている」
heart と mind をどちらも「心」と訳しましたが、違いを辞書で確認しておきましょう。
類義 heartとmind
heart は喜怒哀楽等の強い感情を抱く場所としての心で, 身振りの際はしばしば心臓の位置をさす. mindは思考・理性・精神の存在場所としての心をいい, 身振りの際はしばしば頭をさす.
heart:ウィズダム英和辞典 macOS 版
4/10
1:16:44
But when I’m way up here
It’s crystal clear
字:私は雲の上 もう迷わない
アラジンとジャスミンが魔法の絨毯で空高くを飛ぶシーンで、ジャスミンが歌う “A Whole New World” の歌詞です。
「こんなにも高くまで来たら 水晶のようにはっきりしてる」と訳せるかなと。crystal clear は「非常に明白な」という意味で歌詞だけでなく日常的に使う表現です。
way は強調です。
up には「〜まで」という意味があります。原義は「 (低い位置から) 上の方へ [に] 」(ウィズダム英和辞典 macOS 版より)ですが、例えば室内では上にいけるのは天井「まで」です。そんなイメージです。
it はこのあとに続く that now I’m in a whole new world with you を指しています。
5/10
1:18:20
Of all the places you’ve shown me, this is by far the most beautiful.
字:今日 見せてくれた中では ここが1番
of は字幕で「中では」となっているように範囲を指定します。円で囲んでグループ分けする感じです。
by far は「〔最上級を強めて〕はるかに」という意味です。「遠くのそばに」なのではるか遠くに寄った感じがします。
「とびきりの the most beautiful 」という感じです。男性はここぞというときに You are に続けて使ってみてください。
6/10
1:19:34
People don’t see the real you when you’re royalty.
字:本当の僕を見て
音:みんなうわべだけで中身を見ない
ジャスミンの
How could I not recognize you?
音:でもどうしてあなたのこと分からなかったの?
というセリフに続くアラジンのセリフです。
アラジンの you は「世界中のすべての人」の意味で単純に「人」と解釈すると分かりやすいと思います。
「一般的な話をするときの you 」は目の前のあなたも話しているときの自分もその場にいない人も含みます。
7/10
1:19:42
I mean, you’ve seen more of Agrabah in days than I have in an entire lifetime.
字:私よりアグラバーを知ってる
音:少しの間に 私の知らないところまでアグラバーを見てたのね
私には分かりにくかったので取り上げました。まず、次のように単語をいくつか抜いてみます。
You’ve seen more of Agrabah than I have.
抜きすぎな気もしますが、これで「あなたは私よりもアグラバーの多くを見てきた」となります。I have のあとには seen が省略されていると考えられます。
in days は「数日で」、in an entire life time は「一生のうちに」なので、セリフ全体では次のように訳せます。
「つまり、私が人生の中で見てきたよりも、あなたは数日でより多くのアグラバーを見た」
8/10
1:20:54
But it was better than the best.
字:最高以上だった
音:最高どころじゃなかったの
better than the best は字幕の通り「最高以上」という意味です。直訳すると「ベストよりもベターだ」なので「最高のものより良かった」や「ベストより良かった」という意味です。
さらに言うと「ベストよりも良いベターだった」や「ベスト以上のベターだった」だと「超最高よりも最高だった」みたいな感じです。
9/10
1:20:59
I mean, genie magic is really just a facade.
字:俺の魔法は うわべだけなんだ
音:ジーニーの魔法は外ヅラをちょいと飾るだけなんだ
facade はフランス語ですが、調べてみると face が語源なので「うわべ」の意味をイメージしやすいです。
このように英単語にも漢字の部首に相当するものがあるので、語源を知ると知らない単語があったときにも何となく意味を想像できます。
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10/10
1:21:03
At some point, real character’s always gonna shine through.
字:やがては 本物の自分が出てくる
音:だからどっかで 本当の自分が中から輝き出す
上記のセリフに続いてのセリフです。
shine through は「〔部屋などに〕光が差す」という意味で、そのイメージから音声の「中から輝き出す」のような意味もあります。部屋に光が差す様子をドアの外から見ると、部屋が中から光っているように見えるかも。
輝き出すものについてはリンク先で例文を確認してみてください。
Chapter 11( 1:21:52 – 1:33:50 )
1/12
1:24:43
Boy, what in the…?
ランプから出てきたら海中だったジーニーのセリフです。
What in the world are you doing?(一体全体何やってるんだ?)と言いかけています。are you doing の部分は違うかもしれませんが、決まり文句です。
in the world は「一体全体」と訳されますが強調しているだけです。「この世界で」ですがなぜこの言い方をするのかは「一体全体」の意味を考えるようなものなので丸覚えがおすすめです。とはいえ、「この世界で (常識的に) そんなことするわけがない」という前提があるのだと思います。
他にも What に続いて the heck、the hell、the fxxk、on earth などがあり、洋画や海外ドラマでは fxxk に似た音の単語で婉曲する場合があります。
カジュアルを通り越して下品なものもあるのでご使用の際は in the world と on earth が無難です。
the heck は私にはカジュアルの範囲かなという印象ですが、あえて下品になりすぎないように使っている感じがします。
同じくディズニーの「アナと雪の女王」では What the…? がありました。これだけでも状況から続くのは上記のどれかということが分かります。
2/12
1:25:10
“I, Aladdin, being of sound body and mind… declare that my second wish is to be saved from certain doom.”
字:私 心身健康なアラジンは 2つ目の願い事で 助かりたいです
sound が「健康」と字幕されていたので調べてみました。
sound:ウィズダム英和辞典 macOS 版
〖語源は古い英語で「健康な(gesund)」; 後にgeが落ちた〗
5 〈人・肉体・精神などが〉健全な, 健康な (!病気やけがなどがなく完全な健康状態であることをさす)
「1 〈言動・考え・根拠などが〉(合理的で)確かな, 適切な, 正しい, 正当性のある, 信頼できる」とも載っています。
「音」という意味の sound とは語源が異なり、こちらは〖語源はラテン語で「音(sonus)」; 16世紀, 語尾にdがついた〗と載っています。
doom は「(通例悪い・恐ろしい)運命, 宿命; 悲運, 凶運; 破滅, 死」という意味で何とも暗いイメージの言葉が並びます。
原義は「判決」です。おそらく、昔はほぼ100%[裁判 → 有罪]だったからだと想像します。
3/12
1:25:17
I took the liberty to backdate that a day.
音:1日前の日付にしといたぜ
liberty は「自由, 独立」という意味で、自由の女神像の Statue of Liberty でイメージしやすく覚えやすい単語です。
自由にしすぎると「勝手」というニュアンスにもなります。
勝手[無礼]な行為[発言]
▸ Don’t take liberties with the things on my desk!
私の机の上の物を勝手に触るな
▸ He takes too many liberties.
彼は好き勝手をしすぎる.
liberty:ウィズダム英和辞典 macOS 版
さらにセリフは the liberty なので the がつくものを探しました。
〖通例the ~〗 «…する» 自由, 許可 «to do, of doing» ; (出入り・使用などの)自由
▸ You have the liberty of this room.
あなたはこの部屋を自由に使っていい.
例文では「部屋の自由を持っている」と解釈できます。
より辞書を見ていくとこんなものもありました。
tàke líberties [a líberty] with A
〈書物など〉に勝手に大きな変更を加える .
backdate の意味は「〈契約書など〉に (実際より) 前の日付を記入する」です。
つまり、backdate that a day は「それに1日前の日付を記入する」となります。
The Libertines というイギリスのバンドがいました。下記リンクの曲は 2nd アルバムの1曲目なのにオフィシャルビデオは過去のライブ映像を繋いだだけです。liberty ですね。
4/12
1:27:21
Your Highness, your advisor’s not who he says he is.
字:陛下 大臣には裏の顔が
国王にジャファーを告発するアラジンのセリフです。
DeepL 訳:殿下、あなたのアドバイザーは彼が言うような人物ではありません
who he says he is は「彼が言う彼自身」のように訳せますが、分かりにくいかなと思います。who he is という形でよく使いますが「彼が誰であるか, 彼自身」という意味です。I know who he is. では「私は彼が誰であるか知っている」という意味です。
このセリフに対し、ジャファーは I’m not who I say I am? と返します。
5/12
1:28:11
You’re a grave danger to Agrabah and you shall be dealt with as such.
字:我が国にとって そなたは危険だ
音:アグラバーに危険をもたらすものには きちんと対処させてもらう
as such は音声では「きちんと」に当たりますが、直訳しようとするとリンク先に載っている意味では「そのため, それ故」が合います。かしこまった感じや固い感じがする表現のようです。
shall は「神によって決められている」というニュアンスを含みます。映画ではこのセリフのように宣言をするような場面と相性が良いようで、よく使われます。
6/12
1:29:06
I am loyal to my sultan, as you should have been.
ジャファーを諭す兵士長(?)ハキームのセリフです。
後半は as you should have been loyal to my sultan が省略されていると考えることもできます。
as のイメージが分かりやすいセリフです。as は「状況や説明をポンと付け足す」感覚で使います。そのため「ゆるいイコール」というイメージがあります。何と何がイコールになっているかを確認するのがポイントです。
セリフでは、まずは「私は国王に忠誠心がある」と言っておいて、その忠誠心の「程度」を as で説明しています。その程度は「あなたがしていたはずの (あなたがすべきだった) 」なので、「私と同じくらい忠誠を誓っていたはずだ (誓うべきだった) 」という意味が浮かんできます。
7/12
1:30:10
But you pulled yourself back together a little bit.
字:けど よくしっかり立て直した
音:うまいこと立ち直れてよかったじゃないか
一度はしくじったアラジンをジーニーがちょっと嬉しそうに褒めています。
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