ディズニーアニメ「アナと雪の女王」で英語学習する際にネイティブスピーカーの感覚やイメージで捉えないと分かりにくいセリフをまとめて解説をつけました。
平易な英語でそのまま理解できるものもありますが、使いこなすのが難しかったり日本語の感覚では微妙なズレが生じたりするものもあります。
日本語からの翻訳では思いつかないセリフでもあるので英語学習を効率化できると思います。英語感覚を身につける学習のために、ぜひ1つ1つ確認してください。
この記事はチャプター9から12( 57:47 – 1:18:06 )までです。
今回私が行った学習方法や参考スクリプトは Chapter 1-4 の記事にて紹介しています。
ご注意
あくまでいち素人の考察です。正確な解説を心がけておりますが間違いがあるかもしれません。参考程度かエンターテイメントとしてお楽しみいただければ幸いです。
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Chapter 9( 57:47 – 1:02:56 )
1/5
58:59
This just got a whole lot harder.
字:これじゃムリ
音:これじゃ何にもできないね
胴体が逃げて顔だけになり動けなくなり、さらに顔半分が雪に埋もれてしまった雪だるまのオラフのセリフ。
this はその状況を指しています。
a whole lot は「大変、大いに」という意味で、whole(全部の)は a lot(たくさん)を強調するために使われているようです。辞書には「くだけて」とあります。
↓whole(ウィズダム英和辞典 macOS 版)
a whòle lót ⦅くだけて⦆
1 〖副詞的に〗大変, 大いに(a lot); ずっと(far) (!動詞や比較の概念を表す語句を強めて)
▸ This is a whole lot more fun.
こっちのが断然楽しい
▸ It doesn’t mean a whole lot.
それには大した意味はありません.
2 〖名詞的に〗大変な数[量] «の…» «of»
▸ There’s a whole lot to choose from.
選択肢はたっぷりある
▸ He is making a whole lot of money.
彼はしこたま金を稼いでいる.
lot には日本語でもロットと言うように「同一製品の生産単位」という意味があるので「(段ボール箱に詰まった)全部のロット」でイメージしやすいと思います。
オラフの全部のパーツ(頭部、胴部、腰部+足など)を lot とするユーモアもあるのでしょうか。
get は「至る」なので a whole lot herder(より大変な困難)に get した(至った)と解釈できます。
get a whole lot ~er の形で使えるのでバラバラオラフと一緒に覚えておくと良いでしょう。
2/5
59:56
What the… Whoa!
アナが先に崖から飛び降りてしまったときのクリストフのセリフ。
What the hell( are you doing? )と言うつもりだったのでしょう。「一体全体何やってんだ?」という意味ですが、もうやっちゃってますし、上品な表現ではないので省略したのでしょう。
あるいは一瞬の状況に驚いて思わず口から出たのかもしれません。
決まり文句なのでネイティブスピーカーには状況と What the だけで分かります。私も知っているので分かります。
hell には heck や fxxk といった単語を入れる場合もあります。また、What in the world are you do ing? という言い方もあります。
the hell とそのバリエーションは強調するために使われているので意味に違いはありませんが、上品でない言葉になるほど強調されます。
heck → hell → fxxk ですね。
「一体全体」の意味を深く考えるようなものなので丸覚えがおすすめです。他の映画やドラマでもよく使われるので何度も出くわすうちに感覚が分かってきますよ。
3/5
59:49
I was born ready! Yes!
字:やるぞ!
音:いつでも大丈夫 よし
クリストフと一緒に崖を飛び降りようとしているアナのセリフ。
I was born ready. は「準備できている状態で生まれた」で「準備万端」という意味です。I’m ready. を強調した表現です。
23:07 のアナのセリフ I was born with it. は「(髪の毛が)生まれつき」ですが、同じアナのセリフで覚えやすいと思います。
4/5
59:58
That happened.
字:マズいぞ
音:慌てるなって
崖から落ちていく途中、ロープが突っ張ったときのクリストフのセリフ。
happen は「(予想せずに・偶然)起こる」なのでクリストフはロープが引っかかることを予測していなかったようです。
はじめは直訳すると「それが起きた」なので皮肉っぽく「こうなることは分かってた」というニュアンスかと思ったのですが、どうなのでしょう。
辞書にもそのような表現が載っています。
↓happen(ウィズダム英和辞典 macOS 版)
「hap(偶然)en(になる)」
Sèe what háppened?
ほら言った通りでしょ.
5/5
1:00:02
Man, am I out of shape.
字:なんかヘン
音:ああもう ダメ
マシュマロウから走って逃げてきたオラフのセリフ。このセリフのあとでバラバラになった体のパーツを自ら戻します。
shape は「(理想的な・ちゃんとした)形、姿、状態」という意味です。
↓shape(ウィズダム英和辞典 macOS 版)
〖語源は「創り出されたもの」〗
なんだかすごい語源ですが、誰もが「こういうものはこういう形」となんとなくイメージする形のことだと言えそうです。
そんな shape の外( out )なので「形が崩れて」を意味します。
›› out of shape(英辞郎 on the WEB )
オラフの体はバラバラなので文字通り out of shape です。
さらに out of shape due to lack of exercise(運動不足で体の調子が悪い)という言い方もあります。オラフは息を切らしながら走ってきたので運動不足なのかもしれません。
オラフには二重の意味がユーモアとなっているセリフが多いので英語感覚を身につけるのにとても良いです。
Chapter 10( 1:02:56 – 1:09:35 )
1/14
1:03:39
They are also stubborn at times, and a little overbearing.
字:頑固で ちょっと横柄で−
音:けっこう頑固だし 少し上から目線だし
▽ at times
at times は「時々、時たま」という意味です。
times と複数形なので a time がいくつもあります。a は1つ1つを区切る感じで、このセリフの場合は彼らが頑固になったとき( time )を1つ1つ区切る感じです。
その1つ1つがまとめられた times を点で指す感じ( at )です。
丸覚えでもいいと思いますが、このように考えておくと忘れにくいし自分が使うときに感情も乗りやすいと思います。
▽ overbearing
overbearing は「〈人が〉高圧的な、横柄な、高飛車な」という意味ですが bear にもそのような意味があり、bear 過ぎる( over )ということです。
ここで bear さんに注目します。熊さんです。単語の中に bear がある場合は熊さんをイメージすると意味が分かることもあります。
bear さんに出会ったら熊さんをイメージです。
2/14
1:03:45
But you’ll get it.
They mean well.
字:でも 優しい連中だ
音:でも大丈夫 すぐに慣れるよ
you’ll get it は「(いつか)それに至る → それが分かる」と解釈できるのですが、具体的にはクリストフが何を it としているかによります。
彼は家族の普通じゃないところをたくさんアナに説明していることから it は「家族の盛りだくさんの普通じゃないところ」です。
音声では「慣れる」となっていますが、「それが分かる → それを受け入れる → それに慣れる」と連想できます。
「それに至る → 慣れる」と瞬時に連想できたらネイティブスピーカーの感覚を身につけたようなものです。もちろんこれに関して、ですが。
3/14
1:04:00
You are a sight for sore eyes.
字:えらく久しぶりだね
音:久しぶりだなあ 元気だったかあ
作中2回目の sore eyes です。1つ目は Chapter 1-4 の記事 にて。
クリストフが家族に再開して1人ずつあいさつするシーンのセリフ。
a sight for sore eyes を直訳すると「痛い目のための光景」なので「見ると痛い目が治るもの」というような感じでしょうか。
↓sight(ウィズダム英和辞典 macOS 版)
〖語源は「見える(意外な)もの」〗
a sìght for sòre éyes
1 ⦅話⦆目を楽しませる人[物]; 珍品, 珍客.
2 ⦅英⦆滑稽な人, つまらない物.
「目の保養になるもの、見るもうれしいもの」といった訳も英辞郎 on the WEB に載っています。
›› sight for sore eyes(英辞郎 on the WEB )
1つ目の sore eyes が使われたセリフは次のものでした。
Me sore eyes can’t wait to see the queen and the princess.
「私のうずうずする目が女王と王女に会うのを待てない」という解釈で、sore eyes は目が文字通り痛いのではなく「〜したくてうずうずする」という「わくわくする気持ち」を表していると考えられました。
この解釈で考えてみるとどうなるか。
for は「理由・原因」でも使われます。
例:Thank you for coming.
適用すると「君はわくわくする(原因の)見た目だ」となります。
「見ると痛い目が治るもの」とはニュアンスが異なりますがどちらが正解なのかは残念ながら私には分かりません。
イギリスでは「おまえは目が痛くなる見た目だ」とストレートですね。
もしかしたら日本語で「ヤバい」が良い意味でも使われるようになったのと同様に元々はイギリスの意味だったのが反語的に使われるようになったのかもしれません。
字幕と音声の訳はどちらも「久しぶり」ですが、久しぶりな場面で使う表現でもあるのでこの訳にしたのでしょう。
4/14
1:05:03
I passed a kidney stone.
字:腎臓の石
音:腎臓の石が出たぞ
pass は「通り過ぎる」や「(ボールを)パスする」などの意味ですがこんなものにも使えるとは。
できれば一生使いたくないセリフですが pass のイメージや使い方として覚えておくには良いセリフです。
似た意味の past を使った表現がある映画「 The Intern 」のセリフが Yahoo! 知恵袋で誤訳とされていましたが私は誤訳ではないと思ったので記事に追記しました。
興味がありましたら確認してみてください。
› 洋画 The Intern/マイ・インターン でビジネス英語&大人の嗜みを学ぶ
5/14
1:05:22
I’ve learned to just roll with it.
字:歓迎してる
音:トロールの好きにさせるんだ
トロールの騒ぎに困惑するアナに言ったクリストフのセリフ。
直訳は「それをただ転がすことを学んだ」です。
▽ learn
learn は「を習得する、身につける、学ぶ、習う」などの意味です。study との違いを確認します。
↓learn(ウィズダム英和辞典 macOS 版)
類義 studyとlearn
study が一般的に「勉強[研究]する」という意味であるのに対し, learnは具体的に何かを身につける過程およびその結果に焦点を当てた言い方
▸ I studied economics for three years but I learned nothing.
経済学を3年間勉強したが何も身につかなかった.
クリストフは長年トロールと過ごして I’ve learned(身につけた)と言っています。
▽ just roll with it
just roll with it は「ただそれを転がす」なのでここでは「成り行きに任せる」という感じです。ボールが自然に転がっていく様子や、サイコロを振って出た目に任せるようなイメージです。
同じ感覚で「 That’s how I roll. / そいつが俺のやり方さ」という表現があります。ギンギラギンにさりげなく使うとかっこいいようです。
日本語音声の「トロールの好きにさせるんだ」がしっくりくる訳です。
6/14
01:05:27
She’ll do nicely for our Kristoff.
字:クリストフに ぴったり!
do for は英辞郎 on the WEB を確認するとここでは「〔物の用途が〕~に向く、~に合う」が当てはまります。
›› do for(英辞郎 on the WEB )
ただし例文を見ていくと do for を一言で日本語に言い換えるのは諦めたくなります。
直訳通り「〜のためにする」とまずはシンプルに覚えてそこからイメージしていくのがおすすめです。for の「代わり」という意味から「〜の代わりにする」も合わせて。
do for one night(1泊だけ我慢する)は「一晩のためにする」なので何かしたくないことをして1泊するのでしょうか。
「一晩の代わりにする」という意味では、例えば「野宿を一晩の代わり」として我慢する感じでしょうか。
あるいは for を期間として「(何かしたくないことを)一晩だけする」という感じでしょうか。また for の意味が増えてしまいました。
7/14
1:05:38
Why are you holding back from such a man?
字:なぜ決心がつかないの
音:なんでこんないい男をほっとくのさ
hold back は Chapter 5-8 で紹介したアナの歌にも出てきました。
32:11
Can’t hold it back anymore / もう何も隠せない(字幕)
「それを後ろに持つ」で「隠す」という意味でしたが、このセリフでは「ためらう」という意味で使われています。
これは「(気持ちを)後ろに持つ」とイメージすると連想できます。気持ちが後ろにあるとためらう感じになってしまうものです。
hole back は多くの意味がありますが「(物・感情を)後ろに持つ」とイメージすると分かると思います。
›› hold back(英辞郎 on the WEB )
英辞郎に多くの意味が掲載されているので1つ1つ当てはめてみてください。
8/14
1:06:00
So, he’s a bit of a fixer-upper
字:完璧じゃない 欠点はあるさ
音:彼は完璧じゃない 問題もある
fixer-upper は「より修理すればより価値が高まる」という意味で中古物件の広告などで家のコンディションについて使われる表現です。
›› https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/fixer-upper
up は日本語の「仕上げる」や「磨き上げる」の「上げる」の感覚が近いです。ここで意識されるのは「終わりまで」ですが、up にもこのイメージがあります。
up の原義は「(低い位置から)上の方へ[に]」ですが、上に天井や空がある場合はそこが上がれる限度なので「まで」の意味がイメージできます。
9/14
1:06:05
His thing with the reindeer
That’s a little outside of nature’s laws
字:トナカイ好き 変わり者
音:トナカイへの愛情は異常だよ
thing は Chapter 5-8 で紹介したアナのセリフにもありましたが「特別な感情」の意味です。
↓アナの thing を使ったセリフ
41:04
so, I just thought, maybe she has a thing about dirt.
アメリカのドラマ「 Suits 」のシーズン1第1話では「フェチ」という意味で使っています。
その表現を↓で解説しています。
› 海外ドラマ Suits/スーツ でビジネス英語をスタイリッシュに使いこなす
That’s a little outside of nature’s laws は直訳すると「それはちょっと自然の法則に外れてる」ですが子供向けでもあるディズニーアニメなのになかなか攻めたセリフだなと思ってしまいました。
日本語の歌詞も含めて楽しい雰囲気なのでいいのでしょうか。
10/14
1:06:25
Is it the way that he runs scared?
字:臆病だから?
音:気が小さいから
run scared は「ビクビクする」という意味です。
run には非常に多くの使い方がありますがイメージを掴んでおくとだいたい意味が分かります。
↓run 政村秀實(著)「英語語義イメージ辞典」(リンク先は Amazon 商品ページ)
原 動く
イメージ ものごとが継続的に動く(継続的活動)
解 run は<継続+活動>が強く意識される
he runs scared は「怖い」が継続的に動いているのでシンプルに訳すと「彼はいつも怖がりだ」となります。
He is scared. だと「彼は怖がりだ」なのでこちらもいつも怖がりの意味ですが、run を使うともっと活動的に怖がっている感じがします。
イメージしにくい場合は「 run 形容詞 = be 形容詞」と暫定的に理解しておくとイメージはあとからついてくると思います。
be running scared で「恐がっている」という表現もあります。
11/14
1:07:49
And you’ll bring out their best
True love brings out the best
字:真実の愛が 目覚めさせる
bring out は「外に持ち出す」で外に出すものは物だけでなく感情などもあります。
↓でざっと確認するとどんなものを持ち出すか把握できると思います。
›› bring out(英辞郎 on the WEB )
9の例を見ると大抵のものは持ち出せるんだなと覚えておけると思います。
12/14
1:07:57
That’s what it’s all about
音:それでいいのさ
all about は「〜に関する全て」です。about は「(…の)周囲に」が原義で周囲を取り巻く様子を表し、その全て( all )なので「周りにあるもの全て」からイメージできます。
That’s what it’s all about は直訳すると「それがその全て