以前の記事「英語字幕と日本語字幕を同時に画面表示する方法」では、日本語字幕を焼き付けた動画の作り方と、その動画に英語字幕を表示させて同時字幕を実現する方法を紹介しました。
今回は字幕ファイルそのものを作って実現する方法を紹介します。トップの画像のような字幕を字幕サイトから入手した字幕ファイルを組み合わせて作ります。なお、字幕ファイルそのものを作るので動画作成の必要はありません。
しかし、この方法にはやりづらさもあるので、その辺りも解説します。
▽この記事で紹介する方法で作る同時字幕
洋画や海外ドラマの英語字幕と日本語字幕は表示されるタイミングが異なります。そのため、両者の字幕を組み合わせるだけではごちゃごちゃして表示されてしまいます。
これを解消するために「両者の字幕にそれぞれの表示位置を指定する」やり方をこの記事では紹介します。
1. 用意するもの
今回紹介する方法では以下のものが必要です。
- 英語の字幕ファイル
- 日本語の字幕ファイル
- 字幕作成ソフト( Aegisub )
- テキストエディタ
字幕のファイル形式は srt が扱いやすいのでなるべく srt を選んでください。ass しかない場合は srt に変換します。
› Aegisub で srt を保存しようとすると ass になるときの対処法
洋画や海外ドラマの英語と日本語の字幕ファイルは字幕サイトからダウンロードできます。
私は主に opensubtitles.org と Subscene を利用しています。
› opensubtitles.org サイトの使い方と注意点(無料字幕ダウンロード)
› Subscene の使い方。字幕ファイルをドラマ1シーズン分まとめてダウンロード
ただし、日本語字幕はほとんどアップロードされていません。これが洋画や海外ドラマの同時字幕を作るときのやりづらさです。
アニメでは kitsunekko.net がおすすめです。日本語字幕も結構あります。
›› http://kitsunekko.net(外部リンク)
字幕作成ソフトはフリーの Aegisub が便利です。
▽ダウンロード先
Windows
›› https://aegisub.jp.uptodown.com/windows
macOS
›› https://aegisub.jp.uptodown.com/mac
※2021年2月上旬、公式サイトが表示されなくなり、以降は公式以外で配布されています。ダウンロード&インストールは自己責任でお願いします。
テキストエディタは、Mac ではテキストエディット、Windows ではメモ帳です。その他、文字を入力できるソフトでしたらメールでも何でも大丈夫です。
2. この記事で使用している動作環境
- Mac OS X 10.7.5
- Aegisub 3.2.1
Aegisub は Mac 版での紹介ですが、Windows 版も操作や見た目は同じなので参考にしていただけます。
Aegisub の最新版は 3.2.2 ですが私の環境では動かないのでひとつ古いものを使用しています。
ちなみに、Aegisub 2 では動作がやや不安定ですが、2の方が使いやすいところもあります。
3. この方法のやりづらさと解決方法
日本語字幕が見つかりづらい
字幕ファイルは字幕サイトでダウンロードできるのですが、洋画や海外ドラマの英語の字幕ファイルであればほぼ全ての作品がアップロードされているのに対し、日本語字幕はほとんどありません。(日本アニメはあります)
そのため、今回の方法では日本語字幕の入手が重要になります。
SubRip を使う
字幕サイトにアップロードされていない場合は DVD から日本語字幕を抽出する方法があります。これは SubRip という無料ソフトを使えばできるようです。
Windows のみで私は使ったことがないので、ソフトのダウンロードや使い方はネットを参考にしてみてください。
字幕のリッピングは著作権的にいけないような気もします。字幕サイトにアップロードされているものの多くがリッピングされたもののようなので問題はないのかもしれませんが、海外のサイトなので日本とは違うのかもしれません。
このブログでは一応やり方はあるという紹介のみで、利用は自己責任でお願いします。
日本語の字幕ファイルを入手できない場合
日本語の字幕ファイルを入手できない場合は、下記リンクの2つの記事を合わせる日英の同時字幕の作り方があります。
› 英語字幕ファイルを日本語化する方法( Google 翻訳 )
1つ目は英語の字幕ファイルを Google 翻訳(自動翻訳)を使って日本語に翻訳する方法、2つ目は翻訳した字幕ファイルと元の英語字幕ファイルを合体させて同時字幕を作る方法です。
英語と日本語の字幕のタイミングが同じなので、この記事で紹介しているスタイルマネージャーを使う方法は必要ありません。
4. 手順とやり方
おおまかな手順は以下です。
- Aegisub で英語の字幕ファイルを開く
- 字幕行を全て選択してコピー
- テキストエディタで新規ファイルを開いてペースト
- ペーストしたもの(テキスト)を全て選択してコピー
- Aegisub で日本語の字幕ファイルを開く
- 一番上の行にテキストエディタでコピーしたものをペースト
(一番下の行にコピーしたいときは1行挿入してからペースト) - スタイルマネージャーで上になる字幕のスタイルを作る
- 字幕のスタイルを変更
日本語字幕と英語字幕を開く順番は逆でも OK です。
1〜6はちょっとまどろっこしいですが、こうしないと Aegisub に他の字幕データをコピーできないようです。
これがうまくいかない場合は次の方法でも同じことができます。こちらの方が簡単かも。
- 英語と日本語の字幕ファイル( srt )をテキストエディタで開く
- 英語のテキストを全てコピー
- 日本語のテキストの最初か最後にペースト
- 保存して Aegisub で開く
それでは、7以降の具体的なやり方を説明します。
1〜6は基本的な操作なので省きます。
7. スタイルマネージャーで上になる字幕のスタイルを作る
スタイルマネージャーでは字幕位置の指定ができます。なお、字幕のフォントや色、動作などを細かく設定することもできます。
字幕の位置をしていないと日本語と英語の字幕がかぶり、とても見づらい状態になってしまいます。そのため、どちらか一方を指定してかぶらないようにします。
スタイルマネージャーを開く
スタイルマネージャーはメニューバーの Subtitle からスタイルマネージャーを選択して開きます。
下の画像の画面が表示されます。
スタイルを作る
同時字幕のうち、上にしたい方の字幕のスタイルを作ります。
[現在の字幕内スタイル]の枠(上の画像の右側の枠)にある「 Default 」をクリックします。
次に、同じ枠の下にある[コピー]をクリックします。
すると下の画像の画面が表示されます。
特にこだわりがなければ画像と同じ設定で OK です。
変更するところは2か所。
- Style Name
- [余白]内の[上下余白]
Style Name
Style Name は任意で分かりやすいものにするとよいでしょう。ここでは「 Default より字幕位置を55上にした」という意味で Default 55 としています。
上下余白
[余白]では字幕の余白を設定します。[上下余白]では数値が大きいほど字幕は上に表示されます。
私は英語と日本語の字幕を同時に表示したとき(英語が上、日本語が下)に55が一番見やすかったのでこの設定にしています。
フォントの種類やフォントサイズによって英語と日本語の字幕の位置バランスは変わるので、お使いのものに合わせて調節しましょう。
なお、ダウンロードした字幕が ass 形式で、そのまま作成しようとすると元のフォントのサイズに影響されます。プレイヤーで再生しつつ調節するか、一度 Aegisub で srt ファイルとして書き出してからスタイルを作るとやりやすいと思います。
おおまかな位置でいい方は
[アライメント]では字幕のおおまかな位置を指定できます。
この枠を動画を再生したときの画面に見立てています。位置毎に番号が割り当てられていて、5に設定すると画面の中央に表示されます。同時字幕では5か8を選択するとよいかと思います。
日本語のスタイルを作る場合はフォントに注意
[フォント]で英語のフォントを指定すると、動画プレイヤーで再生したときに日本語は文字化けしてしまうので日本語のフォントを選択します。
こだわりがない場合は Hiragino Kaku Gothic ProN にするとよいでしょう。
フォントの色
スタイルではフォントカラーも変更できます。私は白だとまぶしいので薄いグレーにしています。[色]のところでプライマリを変更すると文字の中心の色を変更できます。
スタイルをデフォルトに保存
今回作成したスタイルは Aegisub に保存しておくことができます。
作成したスタイルをクリックした状態で、最初の画像の青枠の下にある Copy to strage をクリックすると左の枠内(カタログに保存されているスタイル)にスタイルが保存されます。
他の字幕ファイルで今回保存したスタイルを使う場合は、このスタイルを選択して、枠下の Copy to current script をクリックして右の枠内(現在の字幕内スタイル)にコピーします。
8. 字幕のスタイルを変更
スタイルができたらスタイルマネージャーを閉じて元の画面に戻ります。
上にしたい字幕に先ほど作ったスタイルを適用します。
やり方は、上にしたい字幕行を全て選択して、画面の左上(下の画像の赤枠)にある▼をクリックして、先ほど作成したスタイル( Default 55 )を選択します。
これで保存すれば日英同時字幕の完成です。
ass ファイルとして保存されます。
スタイルの作成やスタイルマネージャーの使い方は下記リンク先の記事で詳しく紹介しています。
メモ字幕も作れる
スタイルを応用して、単語や表現の意味を画面の左上や右上に表示させることもできます。
さらに、聞き取りが難しく感じるところに下線を引く、強く発音される箇所を斜体にして発音練習、といったこともできます。
やり方は下記リンクの記事を参考にしてみてください。
› 英語学習向けメモ字幕の作り方( Aegisub 使い方)
Aegisub 関連の記事は他にもいくつか書いています。
こちらのカテゴリーよりご参照ください。
› Aegisub
字幕を動画に焼き付ける問題
Aegisub ではテレビや YouTube のような字幕やテロップを作れますが、字幕を作ったら字幕を付けた私的な動画を DVD にしたり YouTube で公開したりしたい場合があると思います。
しかし、Aegisub で作れるのはもちろん字幕ファイルであって動画ファイルではありません。そのため字幕を動画に焼き付ける必要があります。
字幕を焼き付けるとは、字幕を画像として映像の上に貼り付けることです。テレビ画面(動画)にシール(字幕)を貼る行為、と例えると分かりやすいかもしれません。なお、そのためこれをすると字幕の非表示はできません。
この「動画に字幕を焼き付ける」作業を私は以前したことがあるのですが、少々というか、結構な問題でした。
無料で動画に字幕を焼き付ける方法
動画に字幕を焼き付ける方法は、無料ではまず FFmpeg を使う方法がありますが、これは私はよく分からず挫折しました。簡単らしいのですが。。
そこで Windows 用のフリーソフトを使ったのですが画質も音質も劣化して残念でした。ソフト名は忘れてしまい探しても見つからないので紹介は諦めましたが、私が使った感触ではおすすめはできないものでした。
無料の動画作成ソフトで字幕を付けた方がいいかも
動画編集ソフトでも字幕は付けれます。Windows ではマイクロソフト社の Movie Maker が無料で使えます。
Mac では iMovie がありますが字幕を付ける機能はありません。タイトルを付ける機能で代用はできますが自由度が低く字幕としてはいまいちで使いづらいです。
自動で字幕作成できる動画編集ソフトが便利
とにかく無料でがんばる私ですが、有料ソフトの便利さの誘惑に負けることもあります。とはいえサブスクしかない高額ソフトには手が出ません。
私と同じような方には Windows 用の動画編集ソフト「 VideoStudio Pro 2022 」がおすすめです。理由はこのバージョンからの新機能「音声テキスト変換機能」で字幕作成を効率良く行えるからです。英語や日本語などに対応していて、精度は100%正確とはいかないまでもなかなか正確なようです。
公式サイト では30日間無料の体験版を利用できるので気になった方はまずは試してみるとよいでしょう。
▽購入はソースネクストがおすすめ
VideoStudio Pro 2022 は Amazon でも販売されていますが、購入はソースネクストサイトがおすすめです。50%引き以上になる割引セールを月イチくらいでしているのが理由です。体験版を利用しながらセールを待つとよいでしょう。(情報入手はメルマガ登録がおすすめ)
›› VideoStudio Pro 2022(ソースネクスト商品ページ)
Mac ユーザーは?
とはいえ私は Mac ユーザーでサブスクするほど動画編集をしないので Filmora かなという感じです。

購入は時期にもよりそうですがポイント分で楽天がお得な印象です。
字幕通りに聞き取るには?
洋画の英語を聞き取るのは意外と簡単です。洋画が聞き取れるようになると受験英語のリスニングが楽になりますし、ニュースだけでなくネイティブスピーカーとの会話も聞き取れます。
初心者も、まずは洋画を1本聞き取れるようになってみてはいかがでしょうか。
こちらの記事でその方法を紹介しているので参考にしてみてください。
「成長を効率よくしたい」「自分では難しそう」という方には、お好きな洋画や海外ドラマ、日本アニメ英語版でのオンラインレッスンを提供しています。
内容は希望次第です。聞き取りに特化したり、英語表現の解説をしたりもできます。
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