フリーの字幕編集ソフト、Aegisub には字幕部分の音声を切り出す機能があります。英語学習においては鼻血が出そうなくらい嬉しい機能(効率的な学習ができる)なので、そのやり方(とても簡単)をご紹介します。
英語学習に効果的な切り出すべきセリフの選び方と、学習に効果的なプレイリストの作成方法も合わせてご紹介します。こうして作ったフレーズ集はとても学習効果が高いのでおすすめですよ。
この記事で使用している動作環境
- Mac OS 10.7.5
- Aegisub 3.2.1
※Windows でも同様に利用できます。
Aegisub の最新バージョンは 3.2.2(記事作成時)ですが、私の環境では起動しないので1つ古いバージョンを使っています。
ちなみに、字幕を作成するときは 2.1.9 を使っています。動作はやや不安定ですが字幕を結合したときの動作がこちらの方が使いやすいので。
映画・ドラマの音声ファイルの作り方
洋画や海外ドラマ音声がない場合はこれらの記事を参考にしてください。
1. Aegisub に音声(動画)ファイルを読み込ませる
字幕ファイルをサイトでダウンロードしておきます。
Aegisub で字幕ファイルを開いたら、音声ファイルを読み込ませます。音声ファイルでなくても、動画ファイル( mp.4 を確認)を選択しても、音声ファイルとして読み込んでくれます( Windows 版ではできないようです)。
メニューバーから「音声 → 音声ファイルを開く」と進んで音声ファイルもしくは動画ファイルを選択して読み込ませます。
もしくは「映像 → 映像を開く」と進んで動画ファイルを選択します。
Aegisub 3.2.1 では画面上にファイルをドラッグ&ドロップしても読み込まれます。動画ファイルの場合は映像も読み込まれますが、そのまま音声の切り出しもできます。
2. セリフ音声を1行ずつ抽出
字幕ファイルと音声ファイルを読み込むと上の画像のようになります。
セリフ音声を1行ずつ抽出するには、切り出したい字幕行を1つ選択して、右クリック、「選択範囲の音声ファイル抽出」(下の画像の緑枠参照)をクリックします。
※抽出したい字幕行を選択した際、スペースバーや再生ボタンを押して字幕部分の音声を聞いて、セリフの前後が切れていないか確認しておくとミスを防げます。修正方法は「4. セリフの前後が切れてしまう場合」を参考にしてください。
ファイル名と保存場所を指定する画面が出ますので、入力、確認して保存します。
( .wav として保存されます)
ファイル名の付け方は自分が分かりやすく整理しやすいようにすればいいのですが、「5. ファイル名の付け方」を参考にしてみてください。
▽個別にまとめての抽出はできない
抽出したいセリフがたくさんある場合はまとめて一気に抽出したくなります。セリフを1つずつ個別のオーディオファイルとしてまとめて抽出したい場合です。
しかし、複数の字幕行を選択して抽出をすると選択範囲が1つのオーディオファイルとして抽出されます(このやり方は次項で紹介)。
セリフを1つ1つ個別に抽出したい場合は、1行ずつ選択して抽出する作業を繰り返すしかないようです。
3. セリフ音声を繋げて抽出
1行ずつ抽出する場合とほとんど同じですが、上の画像のように字幕行を複数選択して抽出をすると、選択範囲の始めから終わりまでが繋がって、1つのオーディオファイルとして書き出されます。
また、1つ飛ばしなどで選択をした場合も同様に、最初と最後の行までの1つのオーディオファイルとなります。
会話やシーン毎に抽出したい場合に便利ですね。
4. セリフの前後が切れてしまう場合
字幕の開始時間と終了時間を調節します。
調節するには2つの方法があります。数値を直接入力する方法と、波形のバーをスライドさせる方法です。どちらも時間を調節したい字幕を選択して調節します。
波形のバーは赤が開始時間、青が終了時間となっていて、オーディオを再生しながら調節できるのでこちらの方がやりやすいと思います。
調節できたら「 enter 」を押して変更を確定させたあとで右クリック、「選択範囲の音声ファイル抽出」を選択肢します。
※調節した後で保存してしまわないように注意してください。
もうそろそろかな・・・
5. ファイル名の付け方とフォルダ分け
▽ファイル名の付け方
抽出した音声ファイルの数が多くなってくると管理に困るかもしれませんが、ファイル名を次のようにすると分かりやすく整理できます。
05312 Better late than never
数字は53分12秒を意味します。頭の 0 はいらなさそうに思うかもしれませんが、1時間を超える作品の場合はつけていないと同じフォルダ内でごちゃごちゃします。
Better late than never はセリフそのものです。音声ファイルの内容が一目瞭然であるだけでなく、ファイル名を見て復習できます。セリフが長くてファイル名として付けられない場合は適当に短くします。
ちなみに、このセリフは映画「 The Intern 」のもので「遅れてもやらないよりはマシ, 遅れても来ないよりはマシ」という意味です。
› 洋画「The Intern/マイ・インターン」英語表現&解説 Chap. 4-6
▽フォルダの分け方
まずは映画やドラマの作品ごとにフォルダを作成します。その中に音声ファイルを入れるのですが、数が多くなってくるとこれまた探すときにややこしくなります。
その場合はシーン毎にフォルダを作って分けると探しやすいです。フォルダ名は[01234 喧嘩][12345 ホテル HとLの会話]のように、そのフォルダに入れてある最初のセリフの時間を数字として付けて、そのシーンを思い出しやすい簡単なメモをしておくとよいでしょう。
6. 抽出するべきセリフ
映画や海外ドラマのセリフをすべて抽出してもいいのですが、的を絞ると効率的です。どんなセリフを抽出すると英語学習に効果的なのか参考までに。
- 英会話で使える表現、使ってみたい表現
- 英語らしい表現(直訳できない表現)
- 何度も出てくる表現
- 聞き取りづらいセリフ
- かっこいいセリフ
- 好きなシーンや会話
だいたいこんなところかと思います。
何度も出てくる表現は会話でよく使う表現でもあります。洋画や海外ドラマを見ていると自然に覚えることもあるので、見る機会が多い方は抽出しなくても大丈夫かもしれません。
最後の2つはおまけのようなものですが、好きなシーンやカッコイイと思うセリフは記憶に残りやすいし、発音練習するのも楽しいですよね。そういった意味で効果的だと思います。
7. 効果・効率的なプレイリストの作り方
好みで作っていただいで問題ないのですが、プレイリスト(英会話フレーズ集)の作り方を少し工夫するだけでぐぐっと効果と効率がアップします。
私が思うその作成方法はこちらの記事で紹介しているので参考にしてみてください。
あとはキックで・・・??
8. Aegisub でできるその他の学習方法
今回ご紹介した方法と同じところもあるので解説は不要かもしれませんが、
という記事を書いたので参考にしてみてください。
9. より簡単で便利な方法
今回紹介した方法も便利ではあるのですが、ちょっと面倒ですよね。実は、録音から再生まで非常に便利な AutoMemo S(オートメモS)という AI ボイスレコーダーをご存知でしょうか。
録音した内容を自動で文字起こしできるだけでなく、録音した内容をテキスト検索して目で探せるし、テキストをタップすると録音を再生できます。
AutoMemo(オートメモ)の便利機能
- 録音と文字起こしが同時にできる(英語など計72言語)
- 文字起こしした内容をメールで送信できる
- 本体で内容が文字で読める、検索できる
→ 聞きたいところを目で探せる - テキストをタップして音声を再生できる
✔︎ 3と4は AutoMemo S のみの機能です。
つまり、今回の目的では洋画を1本丸ごと録音すれば聞きたいセリフを瞬時に探してリスニング学習することができます。
1つ1つのセリフを音声ファイルとして抽出できるわけではありませんが「こちらの方が使いやすい」という方もいるのではないでしょうか。
さらに、例えばこのような使い方もできます。
AutoMemo があると出来ること
英会話レッスンの復習に活用するとして…
- レッスンを丸ごと録音
- レッスン後、分からなかった部分を検索
→ 録音中にブックマークを付けておくのも便利 - 文字起こしされたテキストをメールで送信
- Google ドキュメントにコピペして文字起こしのミスを修正
- DeepL で翻訳
Google ドキュメントではスペルや文法に間違いがあると自動で修正案を提示してくれるので修正が捗ります。覚えておきたい内容はそのままメモとして保存するとよいでしょう。
DeepL は無料の AI 翻訳サービスですが、非常に高精度な翻訳だけでなく意訳までするので英語表現のニュアンスが分かることもあります。

Amazon や楽天がお買い得な印象ですが、公式サイトもキャンペーンなどでお得な場合がありますよ。
サイトもチェックしてみてください。
10. おわりに(おじさんはまだまだ・・・)
今回はおもしろがって写真画像を3枚も使ってしまいました。見づらくなっていたらすみません。
おじさんはまだまだ大変そうですが、Aegisub でセリフ音声を切り出すのはとても簡単です。Aegisub を使っていると自然に見つかる機能だと思いますが、Aegisub を知らない方にも参考になると思って書いてみました。
お気づきだと思いますが、この機能ではセリフを切り出す前の段階でセリフを一つ一つ確認しながら聞けますし、時間を調節して部分的に聞くこともできるので、リスニング学習にもなりますね。
Aegisub 関連記事
› どんなに細かい英語の音も字幕作成ソフトを使って聞き取る方法
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› Aegisub で srt を保存しようとすると ass になるときの対処法
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字幕を動画に焼き付ける問題
Aegisub ではテレビや YouTube のような字幕やテロップを作れますが、字幕を作ったら字幕を付けた私的な動画を DVD にしたり YouTube で公開したりしたい場合があると思います。
しかし、Aegisub で作れるのはもちろん字幕ファイルであって動画ファイルではありません。そのため字幕を動画に焼き付ける必要があります。
字幕を焼き付けるとは、字幕を画像として映像の上に貼り付けることです。テレビ画面(動画)にシール(字幕)を貼る行為、と例えると分かりやすいかもしれません。なお、そのためこれをすると字幕の非表示はできません。
この「動画に字幕を焼き付ける」作業を私は以前したことがあるのですが、少々というか、結構な問題でした。
無料で動画に字幕を焼き付ける方法
動画に字幕を焼き付ける方法は、無料ではまず FFmpeg を使う方法がありますが、これは私はよく分からず挫折しました。簡単らしいのですが。。
そこで Windows 用のフリーソフトを使ったのですが画質も音質も劣化して残念でした。ソフト名は忘れてしまい探しても見つからないので紹介は諦めましたが、私が使った感触ではおすすめはできないものでした。
無料の動画作成ソフトで字幕を付けた方がいいかも
動画編集ソフトでも字幕は付けれます。Windows ではマイクロソフト社の Movie Maker が無料で使えます。
Mac では iMovie がありますが字幕を付ける機能はありません。タイトルを付ける機能で代用はできますが自由度が低く字幕としてはいまいちで使いづらいです。
自動で字幕作成できる動画編集ソフトが便利
とにかく無料でがんばる私ですが、有料ソフトの便利さの誘惑に負けることもあります。とはいえサブスクしかない高額ソフトには手が出ません。
私と同じような方には Windows 用の動画編集ソフト「 VideoStudio Pro 2022 」がおすすめです。理由はこのバージョンからの新機能「音声テキスト変換機能」で字幕作成を効率良く行えるからです。英語や日本語などに対応していて、精度は100%正確とはいかないまでもなかなか正確なようです。
公式サイト では30日間無料の体験版を利用できるので気になった方はまずは試してみるとよいでしょう。
▽購入はソースネクストがおすすめ
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Mac ユーザーは?
とはいえ私は Mac ユーザーでサブスクするほど動画編集をしないので Filmora かなという感じです。

購入は時期にもよりそうですがポイント分で楽天がお得な印象です。