となりのトトロ|英語版のフレーズ&発音解説 Chap. 1-5

ジブリアニメ映画「となりのトトロ(英題:My Neighbor Totoro )」の英語セリフの中から「ちょっと分かりにくいかな」という表現や会話で使える表現を集めて解説をつけました。

セリフは私の独断で選びましたが、直訳では意味が分かりにくいものや、英語感覚が分かりやすいものを中心に選んだので英語を理解するための効率的な学習ができるはずです。会話で使える表現は挨拶のような定型的なものは省いています。

解説はあくまで映画での使われ方までとしています。単語や表現の詳しい解説や使い方は辞書やネットをご参照ください。

 

 

発音では「特にこれは聞き取りにくい、字幕とかけ離れている」というものを選んで、音の聞こえ方をカタカナで表現しています。実際の音声は DVD などで確認してください。

この記事での解説はチャプター1から5( 00:00 – 20:52 )です。

 

他のチャプター

 › Chapter 6-10

 › Chapter 11-15

 › Chapter 16-18

 

 

Attention

私は素人なので、解説が間違っているかもしれないという危機感を持ち、疑問に思ったら自分で調べるスタイルで学習していただけると幸いです。

 

 

DVD/Blu-ray

「となりのトトロ」の DVD/Blu-ray にはディズニー版とそうでない版があり、両者では英語のセリフが異なります。この記事は「そうでない版」を元に書いていますが、国内版の DVD で購入できるのはディズニー版のみのようです。

この記事と同じ内容で学習したい場合はレンタル店で探すかこちらの海外版をお求めください。

この DVD のパッケージ裏面を確認しましたが、ディズニーのロゴなどはないのでおそらく「そうでない版」です。また、英語のセリフと同じ英語字幕( SDH )が収録されているとは明記されていません。

 

海外版 DVD/Blu-ray のディズニー版はこちらです。

Amazon の画像に SDH 字幕が収録されていることが明記されています。

なお、国内版 DVD/Blu-ray には SDH 字幕は収録されていません。(英語音声は収録されています)

 

ジブリ作品の DVD/Blu-ray についてはこちらを参考にしてください。

 

海外版 DVD/Blu-ray の再生方法も紹介しています。

 

英語スクリプト&字幕ファイル  

 

スクリプト

英語のスクリプトは下記リンク先のサイトを参考にしました。

ごく一部間違っているところがありますが、喋る内容と同じ内容で、セリフで文法的に省略されている場合は括弧付けで補完されているので学習に役立ちます。

 ›› http://www2.gol.com/users/billp/totoro/script.html

 

スクリプトを使った学習としては次のものを紹介しています。

 › 洋画・海外ドラマの英語スクリプトで多読&音読

 › 絶対!英語リーディング力があがる「ABリピート音読」

 

字幕ファイル

レンタルした DVD に収録されている英語字幕は日本語音声用のもので、英語のセリフと内容が異なっていました(喋る内容と違う)。同じものは字幕サイトから無料でダウンロードできるのでページのリンクを2つ貼っておきます。

opensubtitles.org

 ›› https://www.opensubtitles.org/en/subtitles/186751/my-neighbor-totoro-en

 ›› https://www.opensubtitles.org/en/subtitles/8100689/my-neighbor-totoro-en

Caution:この字幕サイトは広告のポップアップウィンドウが開くことが多いですが、普通に閉じれば問題ありません。時々サーバーが落ちますがその場合は待ちます。登録は不要です。

 › opensubtitles.org サイトの使い方と注意点 (字幕無料ダウンロード)

 

1つ目はややセリフと異なる部分がありましたが概ね同じです。

2つ目はセリフと同じでしたが、字幕のタイミングがずれていました。字幕作成ソフトで7.5秒戻すとぴったりでした。

字幕ファイルを動画に読み込ませる方法はこちらを参考にしてください。

 › 英語字幕と日本語字幕を同時に画面表示する方法(パソコン・スマホ・テレビ)

 

Chapter 1( 00:00 – 02:11 )

1/2

00:34

I’m happy as can be

can be:ありえる

can は「可能性がある」、be は「〜な状態」なので合わせて[可能性がある状態 → ありえる]と考えられます。ややこしい場合は丸覚えが無難です。

 

as は「イコールの関係で補足説明」する感じで使います。

I’m happy = can be

セリフでは「私がどのくらいハッピーか」をあとから説明しています。「ありえるくらい」「考えられるだけ」ハッピーということです。

as は感覚がつかみにくいと思いますが、as が使われた文章を見かけたら「軽くポンっと補足説明」する感覚を当てはめてみてください。

 

2/2

00:42

Come on, let’s go

come on は、私独自の解釈ですが「 on の命令形」とすると分かりやすいです。「 on になれ」という命令で、どのような状態を on とするかは話者次第です。

詳しくは下記リンク先の記事の最初に取り上げて説明しているので確認してください。

 › アナと雪の女王|ありのままの英語表現&解説集 Chap. 1-4

 

Chapter 2( 02:11 – 07:26 )

1/23

02:32

Father: Thank you very much, I would. Anybody tired yet?

Satsuki: Welcome.

「キャラメルいる?」と聞かれたお父さんのセリフです。

I would. は「そうする, そうしたい」のちょっと遠回しな言い方です。助動詞の過去形は仮定のニュアンスを表現するため遠回し感があります。

Anybody tired yet? は Is anybody tired yet? から is が省略されています。

また、字幕にはありませんがお父さんが話している途中のサツキのセリフは You’re welcome. を略しています。このような省略部分が補完されたスクリプトがネットにあったのでリンクしておきます。

 ›› http://www2.gol.com/users/billp/totoro/script.html

 

2/23

03:30

Sorry to bother you, but are your parents around anywhere?

カンタに声をかけるお父さんのセリフです。

around と anywhere が並んでいるのでおかしな感じがするかもしれませんが、間に or を入れて around or anywhere と解釈すると分かりやすいと思います。

雑に訳すと「ご両親は近くにいるのか、どこかにいるのか?」となります。日本語でもありますが、単語をポンポンっと並べることはよくあるので、文法は気にせずに単語が持つイメージを浮かべるようにすると瞬時に理解できます。

around の原義は「円を描くように」で、お父さんやカンタを中心として「そのまわりに」、なので「近く」と訳すこともできます。

 

3/23

04:23

Hey, Mai, come over here a minute.

「こっち来て」と言う場合には come here とも言えますが、このシーンではサツキとメイは少し離れていて、サツキは橋の上、メイは道の上にいます。

ある程度の距離があり、別の場所にいる場合(セリフでは橋と道)は over を挟みます。over の「〜を越えて」の意味から、セリフでは「メイが2人がいる別々の場所を越えてくる」イメージです。

もし、橋がもっと長くて2人とも橋の上にいれば come here と言えます。

 

4/23

04:27

What are those little things swimming around?

英語音声のみのセリフです。メイが川の魚を見ています。

swimming around は「泳ぎ回る」です。around の原義「円を描くように」がイメージしやすいセリフです。

訳は「この泳ぎ回っているちっちゃいのは何?」という風にできます。

また、swim around someone’s head(英辞郎 on the WEB )では「 (人) の頭の中でグルグル回る」という意味です。調べたら出てきましたが、面白いし覚えやすいし使えそうなので紹介しました。

 

5/23

04:46

Can we?

これから引っ越す家を見たサツキのセリフです。

セリフでは「行ってもいい?」と許可を求めるニュアンスです。このニュアンスも can の「可能性がある」から「可能性があるかどうか」を聞いていると解釈できます。

なお、Can we go there? のようなセリフが略されていると解釈できますが、Can we? や Can I? だけで理解できるようになるのをおすすめします。

 

6/23

04:59

What a lot of neat old junk.

英語音声のみのセリフです。これから住む家を見てのサツキの感想です。

訳は「なんて素敵な古びたガラクタ」のようにできます。

What a lot of が「ワタハ」のように発音されています。t と a が繋がり「ワタ」と言ったあとの口の形と勢いのまま次の音をまとめて発音したようです。

発音解説では、音が繋がった部分をマゼンタ、音が省略された部分をグレーで表記します。

 

7/23

05:02

Do you think it’s haunted?

英語音声のみのセリフです。上記のセリフに続いてのメイのセリフです。

「オバケ出ると思う?」と訳せます。

haunted という単語が出てくるとディズニーのお化け屋敷のアトラクション「 The Haunted Mansion 」と関連づける学習書がありますが、確かに覚えやすいです。

 

8/23

05:07

Oh, boy!

次の会話からのセリフです。

Mei: Do you think it’s haunted?(お化け出るかな?)
Satsuki: Maybe it is!(たぶんね)
Mei: Oh boy!

Oh, boy. は言い方でニュアンスが変わりますが、このセリフの場合は「うわー」という感じです。おそらくお化けを驚かせて追い払おうとしているのではないかと思います。

日本語のオリジナルでは家が古いことで「ボロ〜ッ!」と叫んでいます。

 

▽ boy(ウィズダム英和辞典 macOS 版)

間投詞⦅主に米・くだけた話⦆

1 ⦅肯定的に⦆;〖時にoh ~〗(驚き・喜びなどを表して)おやまあ, わあ (!⦅くだけて⦆ではboy oh boyともいう)
▸ Boy, you’re great!
やった, すごいぞ
▸ Boy, howdy!
すげえ.

2 ⦅否定的に⦆;〖oh ~〗(いらだち・失望などを表して)やれやれ, あーあ
▸ Oh boy(↘), what are you doing?
おいおい, 何をしているんだ.

 

2のニュアンスでは、英語学習にもおすすめの洋画「マイ・インターン」でロバード・デニーロ演じるベンが口癖のように使っています。アン・ハサウェイも主演です。

 › 洋画 The Intern/マイ・インターン でビジネス英語&大人の嗜みを学ぶ

 

9/23

05:09

Come on, I bet I can beat you around the house!

I bet I can beat you:ベタキャミンチュ

1つ目の I は省略されています。can と beat の繋がりが分かりにくいですが、おそらく n または b を発音するために唇を閉じて、そのまま b の破裂音を省略した結果「ミ」のような音になったのだと考えられます。

セリフを DeepL という優秀な翻訳サービスで訳したところ「さあ、家の周りであなたを叩きのめしてあげるわよ!」と物騒な感じになりましたが、「家の周りをぐるっと回る競争で私が勝つよ」という内容です。

bet は「賭ける」という意味ですが、セリフでは「 (賭けに勝つ) 自信がある, 確信がある」という気持ちが含まれています。

 

10/23

5:11

Hey wait a minute!

Wait a minute. は「ちょっと待って」という意味です。a minute は「1分」という意味ですが時間の長さは関係なく「1分待って」という意味ではありません。

同じような表現に wait a second と wait a moment があります。いずれも「ちょっと待って」という意味ですがニュアンスはそれぞれ異なります。詳しくはネットで検索してください。

セリフでは minute の t は省略されています。他のセリフでもそうですが、t が聞き取れない場合は省略されていると思って聞き直してみてください。

 

11/23

05:20

Uh-oh, it’s gonna fall down

英語音声のみのセリフです。揺れる柱を見てのメイのセリフです。

「あーあ  落ちちゃうよー」と訳せます。

 

12/23

05:50

Up there. Look.

大木を発見したサツキのセリフです。

「上  そこ  見て」です。そのままです。

 

13/23

05:55

Wow, what a tree.

英語音声のみのセリフです。大木を見たメイのセリフです。

What a ~ は「なんて〜だ」が定訳です。セリフは「なんて (大きな) 木なんだろう」と訳せますが、日本でこの言い方を耳にするのはテレビのナレーションくらいですね。「すごい木だね」や「この木でかっ」などと訳す方が自然だと思います。

 

14/23

06:00

That’s got to be the biggest tree in – (the world.)

括弧内はセリフにはありませんが私が想像で付け足しました。

訳すと「世界一の大木であることは間違いない」「あれは世界で一番大きい木のはずだ」となります。

That’s got to は That has got to の省略です。have got to は「〜しなければならない, 〜に違いない」という意味です。2つの意味は異なるように思うかもしれませんが、「世界一の大木でなければならない」と訳してみると「〜に違いない」という意味に繋がることが分かりやすいと思います。

現在完了の形なのでなぜこの意味になるのか分かりにくいかもしれませんが、[ have (持っている) + get (状態になる) = 〜な状態になる状況を持っている]と考えると「〜しなければならない」の意味を連想しやすいはずです。

 

15/23

06:07

Daddy, look at that big tree on the mountain!

mountain:マウン

マゥウンのようにも聞こえます。セリフの t では音自体は聞こえないため省略されているようにも感じるかもしれませんが、飲み込まれたような、音が詰まったような間があります。

先ほど出てきた minute のように語尾の t は省略されますが、語中の t は飲み込まれる場合があります。専門的には声門閉鎖音と言います。

 

16/23

06:50

Mai, how am I supposed to open the house up if you’re in the way?

雨戸を開けたいお父さんのセリフです。

 

be supposed to do は「〜することになっている」という意味です。セリフでは how がついて「どうやって〜すればいいんだい?」というニュアンスです。

 

open up(英辞郎 on the WEB )を確認すると次の意味があります。

10. 〔部屋を〕利用できるようにする

 

このシーンのお父さんのように「窓を開けて空気を入れ替えて掃除をして…」あるいは「閉じていた部屋のドアを開く」イメージからこの意味を連想できます。

 

in the way は「道を塞いで, 邪魔になって」という意味です。「その道の中 (上) 」に何かがあって道を塞いで邪魔になっているイメージです。このシーンでメイは雨戸のレールの上にいます。

 

17/23

06:53

Satsuki: Acorns!

Mei: We found them!

字幕にはメイのセリフがなかったので取り上げました。

 

18/23

06:57

And they came from way up.

「どんぐりが上の方から落ちてきた」というメイのセリフです。

 

way には「道」の他に「方向」という意味があります。別々の意味だと思うかもしれませんが、「道があれば方向がある」ので同じ単語にまとまったようです。

 

come は「話題になっている場所に近づく」イメージです。セリフではどんぐりが「上から近づいた」イメージで「落ちてきた]という意味になります。

メイは fall down という表現を知っていますが、fall は「物が (支えを失って) 落ちる, 倒れる」なのでニュアンスが異なります。

参考書籍:英語語義イメージ辞典( Amazon 商品ページ)

 

19/23

06:59

Satsuki: It’s true, they came out of the ceiling.

英語音声のみのセリフです。

「どんぐりが天井から出てきた」という内容です。

 

20/23

07:09

Father: Or maybe some other animal, perhaps a rat.

Mei: Yuk.

お父さんの or は「それか」と訳すとしっくりくると思います。

yuk は yuck と同じで、くだけた感じで「うわっ, おえっ, げっ」のように不快感を表します。

 

21/23

07:18

I’ll open it up for you.

先ほどの open up は「 (部屋を) 利用できるようにする」でしたが、こちらも雨戸を開けて通れる(利用できる)ようにする状況なので同じ意味で捉えることができます。

up には「完了」や「終わり」の意味もあり、セリフでは[雨戸を終わりまで開ける → 全部開ける]というニュアンスです。「〜まで」の意味は、up の原義「上の方へ」から、例えば天井があるとそれ以上、上の方はないのでそこで区切りができるイメージです。意味は異なりますが日本語の「仕上げる」と感覚は近く、この上げるも「終わりまで」を意味します。

セリフをニュアンスを含めて訳すと「雨戸を全部開けますね」となります。up 1つで細かいですが、口癖のようなところもあると思うのでこのシーンを見ながらお父さんといっしょに何度か口ずさんでみてください。

 

22/23

07:19

Satsuki, go and open the kitchen door.

go and open:ゴアノオプン

出だしは「ゴオア」っぽくも聞こえます。

 

23/23

07:23

Father: Here you go.

Man: Same to you, too.

セリフがかぶっていますが上記の通りです。

Here you go. は「さあどうぞ」という意味です。DeepL は「お待たせしました」と訳しましたが確かにそういう場面でも使えます。似た表現に There you go. がありますが、使い分けは相手のために動作をしながら言う場合は Here you go. を使い、その動作が終わってから言う場合は There you go. を使います。お父さんが雨戸を開け終えてから言うとしたら There you go. です。

おじさんはメイが「 Hi. 」とあいさつをしたので返しています。「君にも同じものを」という意味で同じものは hi のことです。

 

なお、英語音声では日本語音声にはセリフがないところにもセリフがある場合があります。ディズニー版だと一致しているのでしょうか。

 

Chapter 3( 07:26 – 10:33 )

1/11

07:34

Satsuki: You can’t catch me!

Mei: Can, too!

2人が裏の勝手口へ走っているシーンです。

サツキのセリフは「捕まえれるもんなら捕まえてみて」というニュアンスです。can’t と否定形への返しなのでメイは「私にもできるもん」という感じで can を使っています。

会話でこういうのが自然にできたらネイティブスピーカーっぽいですね。

 

2/11

08:25

Mei: Bathtubs.

Satsuki: Great.

黒くて丸くてカサカサ動くものを警戒する2人の会話です。メイはお風呂があることに気づきました。

great は「すばらしい」などの意味がありますが、お風呂のことを great と言っているか、メイに同意して「そうだね」というニュアンスで言っているか、まっくろくろすけがいないので「いいね」という意味の good を大げさに言っているか、いずれかです。

 

3/11

08:37

We saw something move in there.

move in が moving と聞こえるのは正しいのですが、字幕の通りです。もし moving であれば …something is moving… となります。

これは文法を感覚的に理解しているネイティブスピーカーなら、音声情報だけでなく内容を予測しながら聞くため自然と分かるのでしょうが、そうでない場合は難しいかもしれません。文法を感覚的に叩き込みましょう(そのためのおすすめ書籍は巻末にて)。

 

4/11

08:41

Well, maybe they were cockroaches,
but anyway, there were millions of them!

サツキがお父さんに黒いのを説明しています。

日本語のセリフでは「ゴキブリではない」と言っていますが英語のセリフでは maybe がついて「ゴキブリだったの